AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2012年07月07日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘暑い季節の大人カジュアル’』2012年7月7日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 前回は夏のオフィスシーンにおける装いについて、「クールビズありきではなく、会う人への気持ちを表現したい」とお伝えしました。今週はオフの装いについて考えてみたいと思います。

 私が暑い季節のカジュアルの基本にしているのは、ボロシャツ。Tシャツより、やはり襟の付いたものが大人にはふさわしいと思います。特に歴史のある「ラコステ」を愛用していますが、裾を出して着ることが多いので、丈の長さには気を使います。ちょうどお尻のトップにくるぐらい、あるいは少し短いぐらいに、場合によっては直して着ています。身幅もほどほどピタっとしたものを選ぶようにしましょう。ダラリとした印象を与えてはなりません。

 そして、男を最も美しく見せてくれる上着は、盛夏においても活用しています。コットンあるいはリネンのものをさらりと羽織れば、体形をカバーしてくれる上に、簡単にスタイルが決まります。

 下半身には、ショートパンツやバミューダパンツをもってくることが多いのですが、細畝のコーデュロイのジーンズなんかもいいと思います。

 そして活動的に過ごしたいので、足元にはスニーカー。デザインし過ぎたもの、大きさを感じさせるものは避け、コンバースのオールスター(ローカット)やイタリアのスペルガといったものを薦めます。ポロシャツの色に合わせて、白、生成り、紺、黒あたりがいいでしょう。
 

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イラスト・YAB

 「オフだから何でもいいや」なんて、もうやめ。夏の海を思わせる明るいブルーのニットジャケットに、白い波頭に寄せて白色ポロシャツ、砂色ベージュのショートパンツなんてどうですか? 自然からの発想でいかにも粋ですね!

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年06月23日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘暑い夏は肌感覚で素材を吟味’』2012年6月23日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 蒸し暑いニッポンの夏、到来。涼を悩む季節です。

 しかし、「クールビズ」という言葉は気に入らない。これまでの規範をぶち壊してしまったからです。昨夏からの「スーパークールビズ」に至っては、職場でTシャツやハーフパンツ……何でもありですか

 地球環境への配慮は大切にしたいものですが、あえて申し上げたい。オフィシャルな場にあっては、「できるだけ肌を見せない」というのが本来の心得であります。紳士を自負なさる方なら、昔から人に会う時には上着を着用するのがエチケット。脱いでいることがあったとしても、「上着も着ておりませんで失礼いたします」と一言あるのが、ジェントルマンたる者の振る舞いです。

 ネクタイなら裏地の付いていないもの、「フレスコ」と呼ばれる軽めの生地でサッパリと。最近は「エアージャケット」といった命名の、涼しげな上着も登場しています。

 そうは言っても、暑いのもよくわかりますから、シャツ姿でも粋にいきましょう。江戸の時代から、日本人は絽や縮みなど、さらりと感じる肌触りの織物を愛用してきました。現代なら上質な麻、綿でも強く撚った糸で作り、シャッキリした織りの「ボイル」、シアサッカー、コードレーンなどを肌感覚、そして冷涼感で選べばいい。
 

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イラスト・YAB

 「機能性」をうたう新素材も結構ですが、私は「生のもの」「無垢のもの」に勝るものなしと考えます。どうぞ麻や綿といった天然素材、そして通気のよい織り方にご注目を。

 再び巡ってきた節電の夏。「粋」について考えさせられる夏ですね。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年06月09日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘適切なサイズを知る’』2012年6月9日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 スーツを着こなす上で、特に大切にしたいのが、適切なサイズです。街で観察していると、中高年の男性はブカブカのオーバーサイズ、若者はきつすぎるオーバーフィットの選択が目立ちます。きちんと体にあった大きさの服を選ぶことは、見た目にきちんとして見えるだけでなく、美しい所作を可能にします。

 まず上着では洋服が肩幅に合っているのか確認します。大きすぎて肩のラインが落ち込んでいないか、逆に小さくて食い込んでいないかチェックします。

 次に三つボタンなら真ん中を留めた状態で、胴回りにわずかなしわがよる程度の状態になっているか確かめます。胸元に手のひらが入るぐらいの余裕があればよく、まったくしわが寄らないのは大きすぎることを示しています。

 そして上着の丈はお尻が隠れる程度、袖口はシャツが2.5センチほど見えるぐらいの長さがベストです。袖の長さは比較的簡単に直せるので、ゆるがせにせずに調節しましょう。

 スラックスの丈は問題なく調節できることが多いようですが、年齢を重ねて脚が細くなった時は細身のものを選びましょう。裾幅は23センチ程度が一般的ですが、足が細い人は、18〜19センチ幅に直すと非常にスマートに見えます。
 

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イラスト・YAB

 本来はスーツを売っている店で、プロの販売員が適正なサイズに直すことを提案するべきだと思いますし、消費者はそうした信頼に値する店に通うべきだと思います。しかし、多くの店の店員は「お似合いでございます」と言うばかり。ぜひ自分で適正サイズを選ぶための基本を知り、様々な仕立ての服を試着してください。サイズによって見た目が大きく変わってくることが実感できるでしょう。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年05月26日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「男の三原色」について’』2012年5月26日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 洋服売り場には色とりどりの品があふれています。色の氾濫とも言える状況に迷ってしまう方に役立てて頂きたいのが、私が「男の三原色」と呼ぶ考え方です。スーツやジャケットなど、男性の装いの中で大きな分量を占める洋服に適しているのは、紺、グレー、茶の三色なのです。

 それぞれに濃淡のグラデーションがあり、紺ならダークネイビーから少しずつ明るくなってロイヤルブルー、スカイブルーといった具合になります。無彩色のグレーなら黒、チャコールグレー、ミディアムグレー、ライトグレー、白。茶もブラウンからミルクティーのようなベージュ色までと系統立てて考えるとすっきりするでしょう。このほかに毎日着ることができる、まるで主食のご飯のような「白色」があります。

 スーツ、シャツ、靴下、ネクタイなどをこれら三原色の濃淡でまとめていけば問題なくきれいに見えます。またこれら三色のハーモニーによって構成されているのが、男性の装いなのです。

 紺のジャケットは男性の装いの基本であり、薄いブルーのシャツも万人に似合います。ミディアムグレーに勝るスラックスは見当たらず、普遍的なものだと言えましょう。そして紺とグレーの両方と相性が良いのが茶色です。ただし、暗い色同士、特に重い青色と濃いグレーが相性が悪いことは覚えておきましょう。
 

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イラスト・YAB

 一方、赤や緑、オレンジといった色彩は「アクセント色」。ネクタイやスカーフ、カフスといった小物にこれらの色を加えると、ハーモニーにピリリとインパクトが加わります。ベーシックを志向するなら、あくまで調味料としてお試しください。
 

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年05月12日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘明度の高いスーツを選ぶ’』2012年5月12日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 戦後の企業中心社会で、「ドブネズミルック」と揶揄された日本男子の装い。
そこから脱し、自分の個性に根ざしたスタイルを作るには、「職場だけでなく、休みにも着たいスーツを選びましょう」と前回お伝えしました。プライベートでも着るとなると、確実に自分の好み、美学が反映されたものになるはずです。

 旧来のビジネスマンから圧倒的な支持を受けてきたのは、グレーなら濃いめのチャコールグレー、紺ならダークネイビー。いずれも遠目には黒に見える暗い色合いです。普段のスーツに黒を選ぶ人もいますが、自分の好みとは別に「黒がオシャレ」「黒がフォーマル」と考えているのなら、それは違います。デザイナーが発表する「モード」に引きずられた安易な黒装束には目を覆う思いがします。

 さて、オフでも着ることを考えながらスーツ売り場を訪れると、これまでよりは明るい色彩の生地を手に取る人が多いのではないでしょうか。

 近年、灰色ならライトあるいはミディアムグレー、紺ならインクブルーやコバルトブルーといった明度の高い選択肢が確実に増えてきました。全体に軽さを生み、顔周りも明るく見せます。

 この流れには、オフィスでも軽快なファッションを楽しむ女性の影響が見て取れます。「もっと装いを楽しみたい」「作業服となったスーツから解き放たれたい」という男性の欲求を感じます。

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イラスト・YAB

 スイーツの分野ではフランスの焼き菓子である「マカロン」の流行が続いているようです。味わいより、カラフルで軽さを感じさせる色合いから選ばれていると思います。そうした時代の感性に無関心では、時宜を心得た仕事もできないと考えますが、いかがでしょうか。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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