AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2012年06月09日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘適切なサイズを知る’』2012年6月9日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 スーツを着こなす上で、特に大切にしたいのが、適切なサイズです。街で観察していると、中高年の男性はブカブカのオーバーサイズ、若者はきつすぎるオーバーフィットの選択が目立ちます。きちんと体にあった大きさの服を選ぶことは、見た目にきちんとして見えるだけでなく、美しい所作を可能にします。

 まず上着では洋服が肩幅に合っているのか確認します。大きすぎて肩のラインが落ち込んでいないか、逆に小さくて食い込んでいないかチェックします。

 次に三つボタンなら真ん中を留めた状態で、胴回りにわずかなしわがよる程度の状態になっているか確かめます。胸元に手のひらが入るぐらいの余裕があればよく、まったくしわが寄らないのは大きすぎることを示しています。

 そして上着の丈はお尻が隠れる程度、袖口はシャツが2.5センチほど見えるぐらいの長さがベストです。袖の長さは比較的簡単に直せるので、ゆるがせにせずに調節しましょう。

 スラックスの丈は問題なく調節できることが多いようですが、年齢を重ねて脚が細くなった時は細身のものを選びましょう。裾幅は23センチ程度が一般的ですが、足が細い人は、18〜19センチ幅に直すと非常にスマートに見えます。
 

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イラスト・YAB

 本来はスーツを売っている店で、プロの販売員が適正なサイズに直すことを提案するべきだと思いますし、消費者はそうした信頼に値する店に通うべきだと思います。しかし、多くの店の店員は「お似合いでございます」と言うばかり。ぜひ自分で適正サイズを選ぶための基本を知り、様々な仕立ての服を試着してください。サイズによって見た目が大きく変わってくることが実感できるでしょう。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年05月26日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「男の三原色」について’』2012年5月26日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 洋服売り場には色とりどりの品があふれています。色の氾濫とも言える状況に迷ってしまう方に役立てて頂きたいのが、私が「男の三原色」と呼ぶ考え方です。スーツやジャケットなど、男性の装いの中で大きな分量を占める洋服に適しているのは、紺、グレー、茶の三色なのです。

 それぞれに濃淡のグラデーションがあり、紺ならダークネイビーから少しずつ明るくなってロイヤルブルー、スカイブルーといった具合になります。無彩色のグレーなら黒、チャコールグレー、ミディアムグレー、ライトグレー、白。茶もブラウンからミルクティーのようなベージュ色までと系統立てて考えるとすっきりするでしょう。このほかに毎日着ることができる、まるで主食のご飯のような「白色」があります。

 スーツ、シャツ、靴下、ネクタイなどをこれら三原色の濃淡でまとめていけば問題なくきれいに見えます。またこれら三色のハーモニーによって構成されているのが、男性の装いなのです。

 紺のジャケットは男性の装いの基本であり、薄いブルーのシャツも万人に似合います。ミディアムグレーに勝るスラックスは見当たらず、普遍的なものだと言えましょう。そして紺とグレーの両方と相性が良いのが茶色です。ただし、暗い色同士、特に重い青色と濃いグレーが相性が悪いことは覚えておきましょう。
 

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イラスト・YAB

 一方、赤や緑、オレンジといった色彩は「アクセント色」。ネクタイやスカーフ、カフスといった小物にこれらの色を加えると、ハーモニーにピリリとインパクトが加わります。ベーシックを志向するなら、あくまで調味料としてお試しください。
 

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年05月12日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘明度の高いスーツを選ぶ’』2012年5月12日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 戦後の企業中心社会で、「ドブネズミルック」と揶揄された日本男子の装い。
そこから脱し、自分の個性に根ざしたスタイルを作るには、「職場だけでなく、休みにも着たいスーツを選びましょう」と前回お伝えしました。プライベートでも着るとなると、確実に自分の好み、美学が反映されたものになるはずです。

 旧来のビジネスマンから圧倒的な支持を受けてきたのは、グレーなら濃いめのチャコールグレー、紺ならダークネイビー。いずれも遠目には黒に見える暗い色合いです。普段のスーツに黒を選ぶ人もいますが、自分の好みとは別に「黒がオシャレ」「黒がフォーマル」と考えているのなら、それは違います。デザイナーが発表する「モード」に引きずられた安易な黒装束には目を覆う思いがします。

 さて、オフでも着ることを考えながらスーツ売り場を訪れると、これまでよりは明るい色彩の生地を手に取る人が多いのではないでしょうか。

 近年、灰色ならライトあるいはミディアムグレー、紺ならインクブルーやコバルトブルーといった明度の高い選択肢が確実に増えてきました。全体に軽さを生み、顔周りも明るく見せます。

 この流れには、オフィスでも軽快なファッションを楽しむ女性の影響が見て取れます。「もっと装いを楽しみたい」「作業服となったスーツから解き放たれたい」という男性の欲求を感じます。

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イラスト・YAB

 スイーツの分野ではフランスの焼き菓子である「マカロン」の流行が続いているようです。味わいより、カラフルで軽さを感じさせる色合いから選ばれていると思います。そうした時代の感性に無関心では、時宜を心得た仕事もできないと考えますが、いかがでしょうか。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年04月28日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「ビジネススーツ外スーツ」を’』2012年4月28日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 前回は「創造的な仕事が求められる今、日本の男の装いは転換点にある」とお伝えしました。今回は男性の装いの基本となるスーツについて、より掘り下げて考えていきたいと思います。
 日本男性の多くは、黒に近い灰色や暗い紺色といった「ダークスーツ」を職場で身に着けています。また「黒」を着ている人もいますが、洋装の起源である欧州ではまず見かけない選択です。 「目立たないように」という意識が、特異な服装感覚を生み、日本の「スーツスタイルのガラパゴス化」につながったと見ています。

 でもいまや、目立たない仕事しかできない人は必要ない時代です。個性的な能力を発揮しようとすれば、その装いも自らの欲求に素直であるべきでしょう。つまり、上着を着るという職場の規範を守りながらも、「自分が心地よいと感じるものを着る」という姿勢が大切です。

 具体的には、スーツを買う時に、仕事という「オン」の場面だけでなく、「オフ」の休日にも着たいと感じるものを選べば良いのです。レストランや美術館を訪ねる場面を思い浮かべてみましょう。「全身が暗い」のはあり得ませんよね。実際に、ジャケットを着て休日を過ごすのは、欧州ではごく当たり前のこと。皆さんも「公私混同のスーツスタイル」を楽しんでみませんか。

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イラスト・YAB

 見て美しい、触って気持ちいいというスーツを身に着けていれば、その感性はきっと仕事にも投影されることでしょう。独創的な仕事は、「ビジネススーツ外スーツ」を選び、自立した存在になることから始まると私は確信しています。

 次回はグレーや紺でも「明るい色を選ぶこと」についてお伝えします。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2012年04月14日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘転換点に立つ男の装い’』2012年4月14日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 皆さん、初めまして。ファッションについてのこのコラムを今週から担当する赤峰幸生です。私が男性編で、女性編の押田比呂美さんと隔週で登場します。

 私は東京・自由が丘で1974年にアパレル会社を作り、欧米の洋服を輸入し始めました。国内のセレクトショップや百貨店で、売り場の展開や商品の構成についてのコンサルティングもしてきました。メーカーに、どういった服作りをしていくべきかの助言もしています。

 長い経験から今、私が考えているのは「日本の男の装いは転換点にある」ということです。

 戦後の日本は、ファッションの分野でも米国に強い影響を受けてきました。「ビジネススーツ」というのは米国の言葉です。日本でも特に職場では男は暗い色調の服を着て、できるだけ目立たないことがよしとされてきました。ただ、スーツを「作業服」として位置付ける、この考え方が、男性の没個性につながったのではないかと感じています。

 今、時代は大きく変わろうとしています。経済性を追うことは、我が国には限界が見えてきました。これからの日本人には個性や知性、創造力をより発揮することが求められます。その源になるのは「感動する力」ではないでしょうか。「こんな美しい服を着てみたい」「自分らしい装いをして、気持ちよく過ごしたい」という情動が、人に感動を与える仕事にも通じると私は思います。

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イラスト・YAB

 日本には古来、「粋」という独自の概念がありました。私たち日本の男はもともと、粋の精神を追求するしゃれものだったのです。服こそは文化の粋です。眠れる個性を目覚めさせる「流儀」を、これから一緒に考えていきましょう。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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