2014年02月01日(土)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「スロー」が生む価値 2014年2月1日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
クラシックを訪ねて三千里。去年、ロンドンから2時間ほど急行列車に揺られ、サマセットにある毛織物の名門「フォックスブラザーズ社」を訪ねました。辺りは広大な牧草地で、羊や牛が点在する風景の中に、紡績工場がありました。
1772年創業のフォックス社は、チャーチル元首相やチャールズ皇太子など、今も昔も英国紳士に一流の服地を提供してきました。特に表面を起毛させた仕上げのフランネルで、世界にその名を知られています。
数年前に経営を引き継いだダグラス・コルドーは、「スローこそが我が社の強みだ」と言います。45年前から使う旧式の織機は、ゆっくりと糸を打ち込んでいきます。そして、手持ちは柔らかいものの、しっかりとした芯が感じられる仕上がりの織物を生み出します。これはスピードが速いことを重視する最新式の機械では、実現が難しい味わいなのです。
もちろん、元経営コンサルタントであるダグラスは、顧客の要望に応じて、より軽さを感じる現代的な織物も作っています。生地の重さを変え、2500もの織り柄をもつ柔軟性やバランスこそが、今や従業員28人となった名門が生き残っていくすべなのでしょう。
工場のすぐ近くにあるショールームには、たいへん古い同社のバンチ(生地見本帳)も収められていました。歴史に敬意を払いながら前進する老舗の姿を垣間見ることができます。
スーツの裏地には服地メーカーのタグが縫い付けられていることがありますから、ぜひご注目を。フォックスなら、まずは基本のブレザーが最高です。投げ捨てられるファッションとは違う、次世代に受け継いでいける上着の良さを味わうことができます。
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2014年01月20日(月)
Akamine Royal Lineオーダー会 "Irish Linen Colletion" [Special Pattern Order会]
いつもAKAMINE BLOGをご訪問いただき誠に有難うございます。
来る2月3日(月)から10日(月)の7日間(9日の日曜日を除く)、インコントロでは2014年春夏スペシャルオーダー会を開催致します。
今回はIrish Linenを各種ご用意致しましたので、どうぞお気軽にご来場くださいますようお願い申し上げます。
なお、ご来場の際には電話もしくはメールで事前にご連絡頂きますようお願い致します。
電話: 044-871-5330
メール: info@incontro.jp
◆日 時◆
2月3日(月)、4日(火)、5月(水)、6日(木)、7日(金)、8日(土)、10日(月) 10:00-19:00
◆場 所◆
株式会社インコントロ
神奈川県川崎市高津区末長2-36-16
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朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 同じような物を買う 2014年1月18日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
年が明けて、初買いやバーゲンセールを楽しまれた方も多いことでしょう。今回は、私の買い物のセオリーについてお伝えしたいと思います。
私が手がけるスーツブランド「アカミネロイヤルライン」のお客様には、「50代でワードローブを完成させましょう」といつもお話ししています。「良いものを少しずつ」が基本的な姿勢です。
例えば現在のような寒い季節なら、基本となるグレーのフランネル(起毛感があるもの)、紺のシャークスキン(サメの肌のような細かい斜めの柄)といったスーツを3着。5着あれば言うことがありません。さらに少なくともシャツを5枚、ネクタイ3本、ポケットチーフ3枚といったところでしょうか。コートも1着必要ですね。
こうしたセットが、秋冬と春夏でそろうと、買い物は一巡したことになります。
そして新たに買い物をする時には「同じようなものをついつい買ってしまうのが正しい」ともお伝えしています。自分のスタイルが固まってくると、似合うものもよくわかり、気に入って頻繁に身に着けるものこそ、繰り返し買ってよいのです。「まだ、こんな色や柄は持っていないから」とさまざまなものに手を出しているうちは、「ファッションに迷う若者」です。
だから、「新しい店には行かない」というのもシブイ選択です。新しいヒットをどんどん作りたい売り手側のサイクルに組み込まれることなく、3年経って店が残っていたら行ってみるぐらいが、ほどよい時代の取り入れ方ではないでしょうか。
買い物が好きだと、「これ欲しい」という衝動が常に襲ってきます。常に「自分が持っているものに合うかどうか」を軸に検討を進めましょう。
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2014年01月07日(火)
だしが利いた服を [朝日新聞掲載記事]
去年のことになりますが、「いのちのスープ」で知られる料理研究家、辰巳芳子さんのドキュメンタリー映画を見ました。米寿を超えた今も、丹精込めてだしを取った汁物を作り、庭の梅を漬け込む仕事も続けています。その生き方に教えを請いたいと、料理教室には順番待ちの列が絶えないといいます。
いま、都会で働く人たちは、たいへんなスピードを求められています。常に「早く」「効率的に」とせき立てられ、まるで五倍速の時計を身に着けているかのようです。
傑作を数多く残したアニメ映画監督の宮崎駿さんが、商業ベースでは自分のペースで仕事ができないと、長編の制作舞台から降りることを決めたのも去年のことでした。丁寧な仕事と、現代ビジネスの速度がかけ離れてしまったことへの苦悩があったのではと推察します。こうした時代だからこそ、「カチカチ」としっかり時を刻んでいくような仕事が尊いのにと、残念に思います。
「ファッション」と言えば、移り変わりが激しいものと思われているかもしれません。確かに、日本では最近まで、「これを着ないとまずいかな?」というマス消費が続いていました。結果、不要になった服をどんどん捨てていきました。
しかし、最近は「ずっと続いていくもの」が共感を得て選ばれるようになったと感じます。
本当に良い服とは、丁寧に染め、糸を紡いで、織り込んで、縫い上げたもの。手間ひまをかけた、いわば「だし」が利いた服です。調味料を振りかけるのではなく、素材からしっかり時間をかけてうまみを抽出したものだと言えます。
新しい1年が始まりました。さらに「だしが利いた服」に目を向けて頂けますように。
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2014年01月01日(水)
新しい年もよろしくお願い致します [年賀]
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2013年12月16日(月)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「ハレの場には演出を」 2013年12月14日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
前回は「普段のスーツを使ってドレスアップし、披露宴やパーティーへ」とお伝えしました。宴席の多い季節ですから、今回も引き続きハレの装いについてお伝えしましょう。
礼服に関する決まりごとは、以前よりずっとおおらかなものになってきました。もちろん、お葬式には黒のスーツで弔意を表現する必要がありますが、お祝い事ではそれほど堅苦しく考える必要はありません。
例えば、フォーマルな場では、日中はモーニング、夕方以降はタキシードを着ることが昔からの決まり事になっていますが、日本では昼間にタキシードを着ても問題にはなりません。ルールは知っておいた方がいいけれども、とらわれすぎることなく、きちんとドレスアップをして祝意を表現することが大切だと思います。
ハレの場にふさわしい蝶(ちょう)ネクタイは、「特別な感じ」の演出にはもってこいの小道具です。歴史を振り返れば、蝶ネクタイがほどけて、現在のネクタイの形になったのはご存じですか?
パリのバンドーム広場にある有名店「シャルベ」の蝶ネクタイは結び目が太く、その存在感が気に入っています。普段は身に着けない方が大半でしょうから、違和感があるかもしれませんが、だからこそ演出効果が生まれると言えるでしょう。
パーティーは楽しむことが大切ですから、蝶ネクタイのほかにも、時には会話を盛り上げるような仕掛けを装いに施していきます。
私が一時、凝っていたのは、ポケットチーフの代わりに、ゴムでできた小動物を胸ポケットに入れていくことです。トカゲ、ヘビ、トンボ……。「何ですか、それ?」から会話が始まって、楽しめること間違いありません。
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