AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2006年12月24日(日)

OCEANS 2月号 連載#11 [OCEANS掲載記事]

King of Elegance

マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」

 

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スキーをイメージした休日の上品脱力スタイル

マエストロ曰く、「箱根の富士屋ホテルに行く着こなし」。ハンドニッティングのノルディックセーターに合わせているのは、フランスの王道ブランド、シャルベにてビスポークしたガンクラブチェックのシャツ、ニューヨークの古着屋で購入したグレーコーデュロイのリーバイス501、そして今はないフランスのジャンバディというブランドの黒のローファー。写真では見えてないが、ソックスは赤のカシミア。効かせるのは1色だけ、という着こなしの決め事を徹底して守り、ソックスも赤を選んでいる。いつもながらカラーのハーモニー、素材感のハーモニーが素晴らしい。粋なニットの着こなしのよき参考例。
 

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ハンドニットの「粋」

 これまでにもクラススポーツの粋について何度か話をしてきました。狩猟、ヨット、テニス、ドライブなど、それぞれのシーンにふさわしいスポーティな着こなしについての・・・。それはアメリカ文化に影響された“カジュアル”とは一線を画すもの。着こなしの背景、そしてそこから生まれる品のよさ=クラススポーツの着こなしです。
 ということで、今回はクラススポーツの中でも、スキーに行く時の着こなしについて。中心のアイテムは、ハンドニッティング(手編み)の(注1)ノルディックセーターだ。今年の1月、ミラノにある(注2)ラヴィッツァという店にて購入。私はヴィンテージの服を好む。何度も何度も袖を通し、時間をかけて生まれるエイジング、つまり(注3)着込んだ服の味わいにこそ、粋を感じるからだ。それゆえに、まっさらな新品の服を選ぶときにも、5年着て、さらに10年着て、ヴィンテージのような味が生まれることを想像する。このノルディックセーターもそうだ。今はまだ味わいが足りないが、これから着続けていくことで、こなれ感が増していくことだろう。
 次は着こなしについて。私にはある種の決め事がある。それは効かせる色は1色まで、ということだ。ノルディックセーターは白×グレーに赤が効かせてある。その配色を考慮して、パンツはグレーのコーデュロイ、靴は黒のローファーに。そしてシャツはセーターと同じく、赤を効かせた(注4)ガンクラブチェック。このようにまとめれば、決してこれ見よがしに派手すぎることはなく、かつ地味すぎることもない。効かせる色は1色だけ、という決め事は(注5)スーツスタイルでもジャケットスタイルでも通じることである。
 よく、服を選ぶ際のコツを尋ねられる。私の場合は店に入ってから、アレコレと迷うことはない。それは自分に似合うもの、そして自分に似合うワードロープを把握しているからだ。アドバイスをするならば、やはりまずはワードロープを検証することをすすめる。よく着る服はどれか?それらの服の共通項を探る。そして着こなしが上手くなるには、人をよく観察して、いいところを盗むことだ。私は映画や写真集からインスピレーションを受けることが多い。粋な参考を見つけること。それがコツになる。

(注1) 「ノルディックセーター」
スキーの本場、北欧のバルト3国、エストニアのブランド、レヴァンディのセーター(日本ではなじみが薄いかも・・・)。編み地がとてもしっかりしているハンドニッティングが特徴。最近の機械で編んだセーターにはない、独特の「温もり」も実に粋なポイント。元は民族衣装のひとつともいえる。


(注2) 「ラヴィッツァ」
赤峰さんも一目を置く、ミラノにあるクラススポーツ・ファッションを中心としたショップ。日本ではなかなかお目にかかれない本格派アイテムが多数、揃っている。


(注3) 「着込んだ服の味わい」
擦り切れていたり、色がかすんでいたり。10年、20年と愛用したアイテムも多い。それが味わい深くて、粋。


(注4) 「ガンクラブチェック」
呼称の通り、クラススポーツのひとつ、狩猟の仲間が集うクラブで愛用されたことに由来するチェック。格子の中に他色の格子を配する二十格子の柄のこと。白、黒、赤茶の配色が一般的。


(注5) 「スーツスタイル」
効かせる色は1色だけという法則は、スーツの着こなしでも同じ。次号ではモヘア混紡スーツを題材に、その具体例を紹介予定。

 
 

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赤峰のブックコレクションから、フランスのスキースタイルを紹介している「le ski et ses modes」より。
スキーに行く際の、王道の着こなしが紹介されている。
時代が移り変わっても、古臭く見えない、よき参考書。

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こちらも赤峰氏の所蔵本、「A HISTORY OF MEN'S FASHION」より。シャツの上にノルディックセーターを合わせている着こなしが、誌面にて取り上げられている。
目指すべきは、こうした気品が漂う雰囲気だ。

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今月の赤峰ワードローブ [OCEANS掲載記事]

バーバリーのバルカラーコート

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マエストロのワードロープから披露していただいた今月のアイテムは、12〜13年前にロンドンのヴィンテージショップにて購入した'60年代のバーバリーのバルカラーコート。名品として広く知られるコートだが、やはり'60年代のヴィンテージとなると独特の味わいが醸し出されている。リバーシブルだが、マエストロはチェック側を好んで着用するとのこと。防水性の高いコットンギャバジンは今なお、十分な機能性を発揮。ニットの上に羽織って着ることが多いそうだ。

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2006年12月06日(水)

MEN'S EX 1月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.8 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
ダブルスーツの着こなし方

ダンディズムの極みともいえるダブルスーツ。とはいえ、ここ日本ではまだまだ真の意味で浸透しているとはいい難いようです。では、ファッション界の2人の巨匠は、このアイテムをどう着こなすのか?ダブルスーツにまつわるこだわりの話は、時に映画に、時にパリの街へと話題を変え、いつもどおり奔放に進んでいきました。

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■(写真右)赤峰幸生氏
・シャルベのポプリン地のオーダーシャツ
・ボン・マルシェのオリジナルタイ
・リヴェラーノ&リヴェラーノでス・ミズーラしたフランネルスーツ
・クロケット&ジョーンズのスエードシューズ
 
■(写真左)菊池武夫氏
・クールのハット
・ダーク・ビッケンバーグのシャツ
・ジェームス・ロックのタイ
・ルイ・ヴィトンのシルクストール
・ベルヴェストのフランネル地のストライプスーツ
・ジョン ロブのシューズ



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今回の撮影の舞台となったのは、広尾にある「カフェ・デ・プレ」です。
パリの左岸(リヴ・ゴーシュ)にあるようなシックで知的な雰囲気をイメージしたこのお店に、お2人の姿は実によくマッチしていました。。

■男のダンディズムにダブルブレストは不可欠
菊池  今日はちょっと存在感を出したいなと思ったら、ダブルのスーツを選ぶことが多いですね。着ていてどこか気分が違うんですよ。自意識が強くなる感じっていうのかなぁ。
赤峰  その気持ちわかります。何かを装備した感じっていうのかな、自分が少し強くなった気分になりますよね。代議士連中がダブルをよく着ているのもそういうことなんでしょう。権威の象徴というわけではないですけど、気持ちを強くさせるものがありますよね。
菊池  エジンバラ公やチャールズ皇太子、日本の皇室もダブルを着ていることが多いですよね。特にチャールズなんかはダブルのイメージしかない。それも4つボタンの1つ掛け。
赤峰  それと、マフィアですよ。彼らも縞の裁ち目の強いダブルブレストをキチッと着ている印象です。
菊池  そうそう!ダブルといえば、やっぱりマフィアをハズすことはできませんよね。実際、今日の私のコーディネートもマフィアをイメージしていますから(笑)。男のダンディズムを語るうえで、ダブルは必要不可欠なアイテムなんです。それなのに、日本人の中にダブルはまだまだ浸透していない気がします。特に若い人はダブルというだけで敬遠していますよね。
赤峰  本当に若い人は着ませんね。ダブルといっても、年齢や体型によって着こなし方はいろいろあるんですけどね。マフィアの話でいうなら、アル・カポネは背もそれほど高くないですし、お腹も出ていて貫禄のあるダブル姿といった感じでしたけど、その部下だった(注1)フランク・ニティなんかはかなり細身で粋がった感じに着ていて、これがまたいいんですよ。
菊池  カルロ・ポンティとか、(注2)ヴィットリオ・デ・シーカが着るダブルも味があってよかったですよね。
赤峰  カッコよかったですよねぇ。あとは、フランスのモーリス・ロネやジャン・ギャバン。ダブルのスーツにタートルネックニットやポロシャツを合わせたりしているんですけど、そうやって少し崩した着こなしがとにかく雰囲気たっぷりで魅力的でした。
菊池  フランス人の俳優さんにルックスがもの凄くいい人ってほとんどいないじゃないですか。体つきにしても、例えばジャン・ギャバンなんてずんぐりしていますし。でも、ダブルを着ると妙にカッコよかった。洋服に立体感が出るんですよね。
赤峰  イギリスの(注3)レックス・ハリソンもきれいでした。サヴィル・ロウのビスポークのダブルスーツを正統にビシッと着ている感じで。
菊池  そうやって見ていくと、ダブルのスーツってヨーロッパのイメージが強いですね。間違ってもアメリカではない。
赤峰  アメリカ人はカジュアルで機能性を重視するから、シングルブレストのナチュラルショルダーのほうが性に合うんでしょうね。先程もお話ししたように、'20〜'30年代のアメリカのマフィアには見るべきダブルブレストのスタイルもありましたけど、それ以降は'60年代に4つボタン2つ掛けのブレザー、日本ではニューポートモデルと呼ばれるタイプが流行したくらいでしょうか。
菊池  ニューポートモデルかぁ。あれは日本でも人気が出ましたよね。で、今思ったんですけど、日本でカルロ・ポンティやジャン・ギャバンといったら誰になるんでしょうか。確か三國連太郎さんあたりが若い頃に着ていたくらいで、とりたてて印象に残ってる人はいないんですよね。
赤峰  日本ではダブル=重役のイメージが強すぎて、確かにカッコよく着ている感じはありませんでした。ただ、'60年代にモッズが流行した頃、カーナビーブレザーというのがあって、あれはかなり話題になりました。ダブル6つボタン3つ掛けでね。
菊池  はいはい。ラペルが狭くてね。そういえば、僕がメンズ・ビギを始めた頃、ダブルを作ったことがありますよ。ギャバジンを使ったピタピタのジャケットで、パンツはバギー。今思えば変わったデザインでした(笑)。

■ダブルブレストはビシッと皺が寄るくらいで
赤峰  普段からダブルブレストのスーツはお召しになるのですか?
菊池  わりと着るほうです。今日はベルヴェストのスーツですけど、下だけデニムにしたり、ほかのパンツに合わせて着ることも多いですね。これは生来の性格で、どこかで崩したくなってしまうんです。カチッとしすぎると落ち着かない(笑)。
赤峰  でも、それは菊池さんならではのワザですよ。誰にも真似できません。
菊池  その点、赤峰さんはビシッと決まっていて、いつも感心させられます。今日のスーツもいい色合いですね。
赤峰  グレイの中で、最近はこの色が一番好きなんです。例えるならジャスト・ミディアム・グレイとでもいうのでしょうか。明るすぎず、かといって濃すぎず、ちょうどど真ん中をいくグレイが今の気分なんです。ところで、菊池さんのスーツはフランネルですよね。僕のもそうなんですが、やっぱり冬のスーツスタイルといえばフランネルがいいですよね。
菊池  そう思います。特に僕の場合、ダブルにはフランネルというのが感覚的にあります。ダブルのスーツはもう1着あるんですけど、それもフランネルです。どことなくシックな気がするんですよね。
赤峰  確かに。ウーステッドもいいですが、それよりもフランネルのほうがよりダブルのイメージに合っていると思います。ダブルブレストのもつ重厚感と、フラノのもつガッチリした素材感がバランスよく釣り合っているんでしょうね。では、夏のダブルスーツといえばどの素材がいいかというと、これはやっぱり麻ですよね。
菊池  あぁ、いいですねぇ、麻。トロピカルウールで仕立てるとどうもペラペラしすぎてバランスが悪くなってしまいますけど、麻は体への馴染み方がいいですよね。昔、30代の頃かな、僕自身、麻のダブルスーツを着ていた記憶がありますけど、今思い返しても、あれはカッコよかったなぁ(笑)。
赤峰  僕も昔、ロンドンで購入したヴィンテージものがあって、それはダブル6つボタンのヘビーウエイトのリネンジャケットでした。で、面白いことに、そのネームにはカサブランカって書いてあったんですよ。
菊池  おっ!(注4)ボギーですか。いかにも本人が着てそうですよね。
赤峰  ピタッと身体に合わせてね。やっぱりダブルブレストというのは、ボタンを留めたときにビシッと皺が出るくらいでないといけません。そこがツルッとしているといかにもブザマですよ。僕は6つボタンの一番下だけを留めているんですが、あえてこうすることで少し引っ張り上げるような感じになるから、皺の出方がより強調されるんです。
菊池  それカッコイイですよね。赤峰さん流の崩しになっていて。
赤峰  思えば、ジャンニ・アニエッリなんかも独特の着こなしでした。座っているときもダブルのボタンは必ず留めていたし、ネクタイだってわざとジャケットの上に出したり、時計をシャツのカフの上からつけるのも、彼ならではでしたからね。
菊池  そう意味で、日本の男たちよ、もっとダブルをカッコよく粋に着こなしてくれ、という思いはありますね。例えば夕暮れどきにこういうオープンカフェに座って、コニャックやシャンパンを飲みながら話しているんですよ。ダブルのスーツでそれをやったら、いい絵になりますよ(笑)。
 

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(注1) 「フランク・ニティ」
アル・カポネの右腕として一家の、主に戦術面を取り仕切っていた名参謀。「アンタッチャブル」('87)では、ビリー・ドラゴが白いスーツ姿で好演した。1883〜1943年。

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(注2) 「ヴィットリオ・デ・シーカ」
俳優としてキャリアを積んだのち、映画監督に転じ、「自転車泥棒」('48)や「ひまわり」('70)などの映画史に残る傑作を多数手掛けた、伊を代表する巨匠。1901〜1974年。

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(注3) 「レックス・ハリソン」
オードリー・ヘップバーンの愛らしさが光る「マイ・フェア・レディ」('64)にてヒギンズ教授を演じ、見事アカデミー主演男優賞を受賞した名俳優。1908〜1990年。

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(注4) 「ボギー」
永遠のダンディ、ハンフリー・ボガートのこと。「マルタの鷹」('41)や「カサブランカ」('42)などの作品で、当代随一のハードボイルドスターに。1899〜1957年。

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菊池さん的ダブルの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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ストールはやっぱりルイ・ヴィトン

菊池さんといえば、やっぱりルイ・ヴィトンのシルクシフォンのスカーフはハズせません。今回はスーツとタイの色に合わせて同系のブルーをコーディネート。絶妙なアクセントに。

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2色ストライプのフランネルです

冬のスーツはフランネルが一番と菊池さん。このベルヴェストのダブルスーツも、フランネル素材。ブルーと白のはっきりしたオルタネイトストライプが、洒落た印象です。

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ドレスシャツは着ていません

白シャツはスウェット地のポケットがついたダーク・ビッケンバーグのもの。ドレスシャツを合わせるのでなく、遊びのあるシャツをもってくるあたりは、菊池さんならではです。

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赤峰さん的ダブルの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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2色以内でコーディネート

2色以内の色使いで全体を合わせるのが赤峰さん流。今回は茶とグレイ2色。最近はグレイ、特にこのスーツのように、明るすぎず濃すぎない、ミディアムグレイがお好みとか。

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ダブルのボタンは下1つ掛け

着こなしでニュアンスをつけるのが上手な赤峰さんらしく、ダブル6つボタンのスーツは、あえて下1つ掛けで。'60年代のフレンチシックなスタイルをイメージしているとのことです。

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フランネルの足元はやっぱりスエード靴

「ヨーロッパの冬のスタイルといえばコレ。フランネルには起毛感のあるスエード靴が不可欠」と赤峰さん。ちなみにフランネルは、英国フォックスブラザーズのもの。

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MEN'S EX 1月号記事「特別講座“正しいマフラーの巻き方”」 [MEN'S EX 掲載記事]

「基本的にはひと巻きで。グルグル巻きは男らしくないですね」

単純なようで、意外と悩むマフラーの巻き方。なんとなく巻いている人も多いのでは。男の確固たる巻き方を、“正統”を知るご意見番、赤峰先生に聞いてみました。
「男のマフラーは、ひと巻きが基本。例えばレストランを出るとき、外国人はスッとひと巻きするだけ。その所作が男らしい。ゴチャゴチャ作ったり、調整しているのは、日本人くらいですね」

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一重・引き締め巻き

「首元でキュッとひと結びするだけ。これが基本中の基本です。引き締まった男っぽさを演出できます。映画監督であり、俳優のヴィットリオ・デ・シーカなどイタリア人が得意とする巻き方ですね」

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一重・前後垂らし

「オーソドックスな巻き方ですが、これもひと巻きで。前は腰あたりまで長くとって、後ろは肩甲骨くらいまでと短くします。オーソン・ウェルズなどのアメリカの俳優が好んでしていた巻き方ですね」

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ショール巻き

「フランス的な巻き方。女性もしますが、男性がしても粋な巻き方です。フェリーニの映画「8 1/2」で、マルチェロ・マストロヤンニが雪のシーンでこの巻き方をしていたことが印象深いですね」

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○ POINT! 後ろの見え方も大事
「首の後ろ部分の巻きは、しっかり高さを取るように。コートを着たときも、後ろからマフラーが見えるべきです」

× NG! 高校生の巻き方です
「2つに折って輪に通す巻き方(写真左)をよく見ますが、あれはエレガントじゃない。グルグル巻きもNGです」

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2006年11月24日(金)

OCEANS 1月号 連載#10 [OCEANS掲載記事]

King of Elegance

マエストロ赤峰の「粋がわかれば、すべてがわかる」

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着こなしの基本はモノトーンでのハーモニー
千鳥格子のスリーピーススーツに合わせているシャツは白のツイルで、チーフは白のリネン。タイは黒もしくはシルバー系を合わせるのがスタンダードだが、それでは凡庸なので、赤峰さんは応用編として赤×黒のストライプタイを選択。靴は35年程前、ニューヨークで購入したフローシャイムの黒の内羽根ウィングチップ。カントリーテイストが持ち味である千鳥格子とウィングチップの相性は抜群。この着こなしにコートを羽織るのであれば、上襟がベルベットになっている黒のチェスターフィールドが第一候補になる。
 
ベストがあれば、ジャケットを脱いだ姿も粋でサマになる
後ろの尾錠はきつめに締めて、コルセットのように着るのが王道。背筋が伸びて、身も心も引き締まる心地。シャツの袖はまくった方がこなれて見える。
 

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スリーピースの「粋」

 年末年始に向けて、ドレスアップの機会が増えてくる。そこで今月はフォーマルな着こなしについて話をしようと思う。どんな着こなしでもT.P.O.を念頭に置くことは不可欠だが、フォーマルシーンではその意味合いがより濃くなる。もし、パーティーの招待状に(注1)ブラックタイ着用とのドレスコードが記されていたならば、すなわちタキシード着用を意味する。しかし、そのようにドレスコードが明確ではない場合には、ブラックスーツを選ぶことが一般的だろう。しかし、私はブラックスーツを好まない。日本では冠婚葬祭用との印象が強く、また没個性となりがちだからだ。ただし、これ見よがしに個性を主張することを勧めるつもりは毛頭ない。あくまで控えめに、場の雰囲気に自然に溶け込み、それでいてさり気なく個を醸し出せるような着こなしが望ましい。そういった目線でタキシードに続くセミフォーマルスタイルとなるのが、(注2)千鳥格子のスリーピーススーツである。着用しているのはフィレンツェのリベラーノ リベラーノのビスポーク。生地は英国の(注3)ウィリアム ハルステッドのクリアフィニッシュによる(注4)梳毛ウール。モノトーンで、細かな千鳥格子のため、派手にはならずにドレッシー。そしてスリーピーススーツは、やはり、ベストの存在感が大きい。タキシードでのカマーバンドに通じる役割を果たす。背中の尾錠はきつめに締め、コルセットのようなタイトなフィット感で着れば、背筋も自然と伸び、姿勢もよくなる。そしてベストはジャケットを脱いだときにも功を奏する。シャツは肌着の位置づけ。そのため、ジャケットを脱いでシャツ一枚となるのは、フォーマルシーンでは礼に反する。しかし、ベストがあればそのようなことはなく、シャツの袖をまくってもサマになり、粋であると思うのだ。
 近頃はタキシードジャケットにデニムを合わせたようなフォーマルスタイルのドレスダウンがトレンドとなっているが、私にはどうにも軽薄に映る。やはり、大人の男はあくまでも筋を通した王道の着こなしが望ましい。それはフォーマルシーンであればなおさらのこと。千鳥格子のスリーピーススーツには貫禄が備わり、パーティで優雅に立ち振る舞うための好材料となる。

(注1) 「ブラックタイ」
黒のボウタイのことを指す。ゆえに、ボウタイを合わせるタキシード着用を意味する。ただのブラックタイを合わせて、常識が疑われることのないように。


(注2) 「千鳥格子」
チェックの一種であるハウンドトゥースの日本での呼称。ハウンドは猟犬、トゥースは歯の意。グレンチェックと並んで、カントリー的なテイストを持った英国的トラディショナルパターン。


(注3) 「ウィリアム ハルステッド」
英国を代表するファブリックメーカーのひとつ。


(注4) 「梳毛」
毛羽立ちの少ない、しなやかなウールのこと。対極となるのは紡毛。千鳥格子でも梳毛であればドレッシー。だが紡毛になればカントリー色が強くなり、フォーマルな印象は弱まる。


 

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グレースケリーと共演した映画「上流社会」の一幕より。千鳥格子を着こなすフランク・シナトラが、粋とは何かを教えてくれるお手本的映画。赤峰氏は映画から多々、着こなしの着想を得るという。

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1935年に撮影されたゲーリー・クーパーのポートレート。千鳥格子のピークドラペルのジャケットを粋に着こなしている。
カラーバーを使ったタイドアップも洒脱。
目標となる着こなし例のひとつ。

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今月の赤峰ワードローブ [OCEANS掲載記事]

ホーランド&ホーランドのハンティングジャケット

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ロンドンにあるハンティングを中心にクラススポーツ用のアイテムを扱う名店が、ホーランド&ホーランド。日本での取り扱いはなく、赤峰氏は現地にて7年ほど前に購入。この一枚仕立てのコットン製ブラウンジャケットはハンティング用の機能ウェア。ルーツのあるアイテムをスポーティに着こなすのが赤峰氏流。これから着込んでいくことで、味わいが深くなり、より魅力を増すことが楽しみに。

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OCEANS1月号記事「お洒落の達人に聞いた!パパの10年コンサバって!?」 [OCEANS掲載記事]

オーシャンズがお洒落なパパに持ってもらいたいと思うのは、長く愛せて使える「10年コンサバ」なアイテム。ここでは、お洒落の達人たちに、長い間愛用しているアイテムについて教えてもらいました。

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「アキュアスキュータム」の'40年代ビンテージコート

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本誌連載でもおなじみのマエストロ赤峰氏。で、そんな氏がワードロープからピックアップしてきたのは、'40年代のアキュアスキュータムのコート。キャメルカラーに肉厚なウールの上質な素材感が際立つ、品格漂う逸品だ。
「なんといってもこれは素材感が素晴らしいですね。それにターンナップの袖やボタンの大きさなんかもちょうどいい。最近では服を痛めつけるような加工ものが流行していますが、僕はこんな“リアルヴィンテージ”なものに粋やエレガンスを感じることが多いです。」時代を超えて、なお着続けられる。これぞまさに、本物だけが持つ魅力だ。
「洋服は、その歴史の繰り返しの中で生まれ育つ。着る人にとって、時代性や歴史性を受け継いでいくことは重要です。また、好き勝手に着るだけではなく、そのルーツ、例えば洋服のディテールに敬意を払いながら着ることを、もっと重んじてもいいのではないか。“故きを温ねて新しきを知る”。僕が服を着るうえで、大切にしている考え方です。」

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2006年11月06日(月)

MEN'S EX 12月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.7 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマをひとつ決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
大人の男のコートスタイル

本連載初のゲストは、ご存知バセット ウォーカーの三代さんと阪急百貨店の花谷さん。ファッション界の若手注目株2人をゲストに4人での対談。男の永遠のテーマである「コート」についての、菊池さん&赤峰さんの持論が炸裂!

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■(写真右)三代彰郎氏
A.グレヴィの帽子
B.バセット ウォーカーのイタリア製シャツ
C.バセット ウォーカーの銀糸入りタイ
D.バセット ウォーカーのトレンチコート
E.バセット ウォーカーのイタリア製ウォッシュトウールパンツ
F.ジャコメッティの靴
■(写真右から2番目)赤峰幸生氏
A.シャルベでオーダーしたシャツ
B.アルニスのタイ
C.英国のテーラーが仕立てたビキューナのコート
D.リヴェラーノ&リヴェラーノで仕立てた'60年代モデルのスーツ
E.ストール マンテラッシのシューズ
 
■(写真左から2番目)菊池武夫氏
A.クールのハット
B.Y.アカミネのジャケット
C.ルイ・ヴィトンのシルクシフォンのストール
D.ジル・ロジェのウールカシミアコート
E.40カラッツ&525のジョッパーズ
F.オールデンのコードバンタンカーブーツ
■(写真左)花谷典男氏
A.エトロのアンゴラ・カシミア混のウールマフラー
B.ドルチェ&ガッバーナのジャケット
C.40カラッツ&525のダッフルコート
D.ヌーディージーンズのジーンズ
E.マルタン・マルジェラのスニーカー



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赤峰さんが撮影時に着用したコートを触りながら、三代さんも花谷さんも感心しきり。
なかでもエルメスのスカーフを裏地として使用しているのには驚きでした。
原稿では割愛しましたが、服好き4人が集まっての服を見ながらの話は、どんどんディープな方向へ・・・・・。

■4人が着用した今季イチオシのコートとは?
M.E.  赤峰さんのコート、(注1)ビキューナですね。
赤峰  自分ではビキューナという認識はないんです。ラムのコートを着ているような感覚っていうのかな。値段がどうとかいうのではなくて、たまたま義理の父がロンドンで仕立てたコートを譲り受けたものなんです。
菊池  裏地にエルメスのスカーフを使っているのにはびっくりしました。表から見るとごくごくフツウのコートなんですけどね。
赤峰  このコートはかれこれ4〜5年着ていますけど、自分の体温でかなりいい感じに馴染んできました。毛の密度感っていうのかな。カシミアにはない目の細かさがありますよね。
菊池  クリクリしているんですよね。
赤峰  そうなんです。ところで、菊池先生が着ているコート、素敵ですね。
菊池  ジル・ロジェというデザイナーのコートで、美しいラインが気に入ってます。
三代  ラペルとか、ローマの昔のスーツみたいなカッティングですね。
赤峰  フランスの'30年代とか'40年代あたりのコートっぽい雰囲気もあります。ボタンが小さいのも凄くいい。
花谷  後ろのラインもきれいですよね。
三代  ドレッシーにビシッと着るのもカッコいいんでしょうけど、タケ先生みたいに崩して着るのもヨーロッパで見られるスタイルですよね。
赤峰  ところで三代君のコート、とってもいい生地使ってるね。
三代  昔の(注2)ムーアブルックのやつです。こういういい生地屋さん独特の風合いを大切にしたいなって思っていて、それを今までは海外のサルトさんに作ってもらっていたんですけど、最近、成熟してきた日本のモノ作りが気になっていて、これは日本で作ってもらったものです。コートは実用品って考えがあるんですけど、僕の年齢だと、ただ着てかっこいいっていう風にはまだどうしてもならなくて、だからディテールにとことんこだわりながら、どこかで遊んで着こなしています。形体は機能に従う、みたいなのが好きなんです。
赤峰  これ、680gくらいあるよね。
三代  そのくらいあると思います。あと、コートは生地とシルエットが命じゃないですか。先生の大の仲良しである(注3)リヴェラーノさん、彼のスーツって太いですけど、ダーツであれだけ立体的に見せていますよね。サルトさんたちから習った技術を少しずつ反映させて、だからこれもダーツを入れて細身かつ立体的に仕上げてあるんです。
花谷  今日は菊池先生が手掛けられたダッフルを着させていただいたんですけど、僕は上品なスタイルを追求していきたいというのがあって、そういった意味ではダッフルコートって凄くいいなって思います。機能面でも秀でたものがありますよね。
赤峰  歳とってから着たいよね。スーツの上から着るのが気分かな。
花谷  確かに、菊池先生が最初これを着ていたとき、本当カッコよかったですから。今までのダッフルコートってもたつき感みたいのが凄くいやだったんですけど、これはすっきりしていて、そこがとても気に入ってます。
菊池  三代さんのコートじゃないですけど、シルエットの美しさにはこだわりましたからね。モノを作るときは、いつも何がカッコいいのかって考えながらやってきましたけど、その瞬間に一番求めているものをその原型の中に入れたいというのはあります。原型は歴史を辿ると既に出来上がっているものなんだけど、2006年はこのカタチで着たいっていう、そのときの気分を取り入れることが大切なんです。
赤峰  時代の気分のブレンドなんですよね。どうブレンドするかという点で、菊池先生の場合はそのへんの匙加減が絶妙なんですよね。
花谷  コートの内側に入った紫のパイピングが好きですね。僕は関西の人間ですから、昔は多色使いが基本だったんですけど、最近はなるべく抑えるようにしています(笑)。このくらいのアクセントがちょうどいいです。

■スーツはショルダーと胸、コートは腰のアタリで着る。
M.E.  花谷さんと三代さんのファッション観を聞かせてください。
花谷  自分は上品さとプリティさを大切にしたいなと思っています。売り場でもそういう点を意識しながら演出していきたいですし、今の時代、「カッコいいだろ、よりもカワイイでしょ」みたいなほうが女性にモテるんじゃないかって、前から思っていたんです。
三代  僕らの世代だと、女性には当然モテたいんですけど、男が男に惚れるっていうのもあるじゃないですか。両方にモテたいっていうか、男性の人にもこれいいよねっていわれるものを着たいですよね。
花谷  ああ、そうかもしれません(笑)。
三代  タケ先生も赤峰先生もほかに似てる人がいないカッコよさですよね。最初は誰かを参考にしながら自分の哲学を築いてこられたんでしょうけど、おふたりを前にして日本のファッション界の先輩って凄くカッコいいんだなって改めて思いました。
赤峰  タケ先生も僕も、基本は映画からなんです。当時は映画しかなかったからね。逆をいえば、映画だけがあったことの幸せ感というのがありました。そこから何を学ぼうっていう、スポンジの吸収度が違いましたよね。そういうしつこさはもってもらいたいですよね。イタリアで夜中に目が覚めてテレビをつけると、いまだに'50年代や'60年代のモノクロ映画が必ずやっているんですよね。
三代  確かによくやっていますよね。
菊池  ヨーロッパの人は黙っていてもカッコいいじゃないですか。日本人はカッコよくない原型をカッコよくしようと、一生懸命細かく勉強するでしょう。それが服にしっかり表現されているなっていうのは感じます。外国人がマンネリ化して忘れてしまっているものを、日本人は細かく攻めていますよね。三代さんの話を聞いていて、入り込み方が違うなって感心しました。
赤峰  イタリアンスタイル、フレンチスタイルだけではなくて、いつかはジャパニーズスタイルっていうのを築いてほしいですよね。若い人が頑張ってくれるのは楽しみだけど、とはいえ自分たちも負けてられないなぁ。
花谷  おふたりがコートの着こなしで影響を受けた人を教えてください。
赤峰  トレンチはリノ・ヴァンチュラかな。先生が着ていたようなダブルのコートだったら、ケーリー・グラントとか(注4)ピーター・セラーズ。ダブルのアルスターっぽいコートだったら、(注5)カルロ・ポンティっていうソフィア・ローレンの旦那さんの着方です。
菊池  僕の場合、親父かな。ダブルブレストのもっとボリュームのあるやつでね。割とマフィアっぽい格好でした(笑)。昔の写真を見ると、やっぱりカッコいいなってね。俳優もいいけど、身近だったぶん、リアルでした。
三代  コートってメンズのアイテムの中でも特別なものだという感覚が、自分の中にはあるんです。両先生にとって、コートとはなんぞやっていうのを教えてください。
菊池  生活全体が簡略化されて便利になったから、洋服がしぼんできて、四季も意識しなくなって、無駄なことが増えていますよね。コートは防寒アイテムなのに、今の人は寒いときに着るっていう意識が希薄なような気がするんです。旬の食材があるように、そういう感覚で、洋服も生活も生き方も見直すと、もっともっと楽しくなるんじゃないかと思います。
赤峰  ジャケットやスーツはショルダーと胸のドレープで着るものですけど、コートは男性も女性も腰のアタリの色気で着るものなんです。イタリア人でそういう着こなしをしている奴を見ると、やるな、チクショーって思います。
三代  素晴らしい!腰のアタリの色気で着る・・・・・・名言ですね。
花谷  これを機に、自分はもちろん、お客様にもそういうきっかけを与えていけるよう頑張っていきたいです。
 
 
(注1) 「ビキューナ」
南米アンデス山脈の標高4,000mの高地にのみ生息する野生ラマの獣毛。最高級服地として知られ、ビキューナでコート1着仕立てると、ウン百万はくだりません。


(注2) 「ムーアブルック」
今は無き英国の生地メーカー。ピーコートなどに使われるメルトン地に定評がありました。


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(注3) 「リヴェラーノさん」
フィレンツェの名門サルト、リヴェラーノ&リヴェラーノのオーナー、アントニオ・リヴェラーノ氏のこと。赤峰さんの昔からの大親友です。

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(注4) 「ピーター・セラーズ」
1925年〜80年。英国ハンプシャー生まれ。'55年の「マダムと泥棒」で喜劇俳優として高い評価を得ました。有名なのは「ピンクパンサー」シリーズのクルーゾー警部役。

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(注5) 「カルロ・ポンティ」
1913年、ミラノ生まれ。イタリア映画の黄金期を築いた名プロデューサー。「道」、「鉄道員」、「女は女である」、「ボッカチオ'70」など、数々の映画を製作。

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菊池武夫さん Takeo Kikuchi [MEN'S EX 掲載記事]

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シルエットで今の気分を表現

細身のダブルブレステッドのカシミア混チェスターフィールドコート。何よりも素晴らしいのは、そのシルエットの美しさ。小さなボタン使いも、今日的で洗練されています。

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赤峰幸生さん Yukio Akamine [MEN'S EX 掲載記事]

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ビキューナコートの裏地はエルメス!

非常にクラシックな着こなしですが、クラシックを極めたゆえの、ダンディズムがあります。ビキューナのコートのスタイリングは最もたる例。裏地はエルメスのシルクスカーフ。

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花谷典男さん Norio Hanatani [MEN'S EX 掲載記事]

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1973年奈良県生まれ。京都大学を卒業後、阪急百貨店に入社。うめだ本店、有楽町店で展開している大人のためのセレクトショップ「スティルアッシュ」と、インポートのプレステージブランドのバイイングを担当しています。

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こちらも細身に仕上がっています

ダッフルコートといえば、一般的にボテッとした印象がありますが、菊池さんが今シーズン手掛けた40カラッツ&525のダッフルコートは細身のシルエットで、今の気分を反映。

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三代彰郎さん Akio Miyo [MEN'S EX 掲載記事]

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1974年静岡県生まれ。20代前半にしてバセットウォーカーのバイヤーに。コミュニケーションを大切にしながらストーリーある服を企画・バイイングしてきました。現在は、サルトテクニコが展開する同店のディレクター。

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襟の後ろにはチンフラップを装備

トレンチコートの襟の後ろにはチンフラップが装備されていて、風が強いときはそれをはずして前につけられます。三代さんは、ディテールの着こなしを積極的に楽しんでいます。

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MEN'S EX 12月号記事 「お洒落の悩み解決」 [MEN'S EX 掲載記事]

下記MEN'S EX 12月号記事
「ファッションの達人たちが回答するお洒落の悩み解決」に回答者として登場しました。

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悩み「ネクタイを上手く結べません」 [MEN'S EX 掲載記事]

スッキリ!達人の結び方を学びましょう

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「最後の締め上げでヨーロッパ的立体感を生みます」

タイドアップ姿がとってもエレガントな、赤峰さんのタイ結びの奥義とは?
「いつも無意識のうちにやっているのですが、強いていうなら、ポイントは最後の締め上げです。アメリカっぽいノットは好きではありません。猫背の状態から背筋を伸ばして台襟に向かってキュッと締め上げると、ヨーロッパ的な立体的なノットが完成します」

【これが赤峰さん流プレーンノット】

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1.小剣はベルトの位置

背丈によって多少の差はありますが、赤峰さんの場合、小剣をベルトの位置に合わせます。

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2.中指と薬指で固定

小剣がビシッとなっているか確認して中指と薬指で大剣と小剣を挟み、大剣を心臓側へピュン。

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3.大剣を一度落とします

ここから前かがみに状態に。大剣をグルリと通しますが、その際、一度下に落としてから通します。

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4.中央から通します

大剣は剣先から通すのではなく、半分に折って中央から通すのが赤峰さん流です。

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5.ディンプルを整えます

左手の親指と人差し指で左側、右手の親指と人差し指で右側のディンプルを整えます。

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6.最後に背筋をピンと

最後に猫背の状態から背筋を伸ばしながら、シャツの台襟に向かってタイを締め上げます。

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悩み「革ジャンをカッコよく着こなせません」 [MEN'S EX 掲載記事]

スッキリ!ジーンズではなくウールパンツを合わせましょう

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「ウールパンツを合わせてドレスのマインドで着ています」

イタリア男の定番アイテムであり、Y.アカミネのコレクションでも定番として長らくラインナップされていたヴァルスタータイプのスエードブルゾン。これにウールパンツを合わせるのが赤峰さん流。
「今日着ているのは英国のコノリーのブルゾンです。この手のカジュアルなブルゾンには、ついついジーンズを合わせてしまいがちですけど、そうすると締まりのないスタイリングになってしまいます。だからウールパンツを合わせ、あくまでドレスのマインドで着こなすのが私のスタイルです。ブルゾンは小さめを選び、中にはドレスシャツを合わせることが多いですね。それだけで、グンとこなれたスタイルに仕上がるはずです」

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これはNG!
残念ながら品がありません


お洒落、お洒落といわれているイタリア男ですが、これはあまりいただけません。サイズバランスも美しくないですし。上品に仕上げたいのであれば、革ジャン+ジーンズというお決まりのパターンではなく、ウールパンツを合わせるのが近道といえるでしょう。

【スタイルを格上げする赤峰さん的着こなしテク】

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グローブを効果的に使います

厚手のグローブで手の存在感を出すと、コーディネートに奥行きが生まれます。「していないときは、ポケットに無造作に放り込んでも絵になります。ショート丈ブルゾンはタイトで袖丈長めが絶対です」

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ヴェストを着る感覚でXラインが絶対の基本

下から3つめを留めたときに美しいXラインを描く、ピタッとフィットするものを。「ヴェストを着る感覚です。これは凄く重要なことです。着たとき後ろ上がりになるよう、いつも意識しています」

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シャツの襟は無造作に立てます

中にはドレスシャツを合わせ、さりげなく襟を立たせます。無造作のようで、実は計算されている、イタリアでいうところの“フィント・ネグリジェンテ”というやつです。赤峰さんの十八番テク。

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2006年10月24日(火)

OCEANS 12月号 連載#9 [OCEANS掲載記事]

King of Elegance

マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」

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これ見よがしにならないマエストロ流のこなし方

ラグランスリーブでダブルブレスト6ボタンのレザーコートは、1940年代のダンヒル製でロンドン大学の教授から譲り受けたもの。フィレンツェのリベラーノリベラーノにて仕立てたドーメル社製のガンクラブチェックの生地を使用したスーツに、チャーチのハンティング用ブーツを合わせた着こなしで。取材時は白シャツにホーランド ホーランドの鳥のクレスト柄のタイを合わせて。よりスポーティにこなすならタートルネックのニットを合わせるのがおすすめ。

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レザーコートの「粋」

 前号ではカシミアのアルスターコートを題材にして粋について話したが、同じコートでも素材がレザーとなると趣はまったく異なる。今回は(注1)ダンヒルのレザーコートを取り上げる。1940年代のドライビング用コートで、親交のあるロンドン大学の教授から譲り受けたものだ。私は服との一期一会を大切にしており、このコートはまさにそのひとつ。偶然に出会い、運よく手に入り、以来、冬が訪れる度に愛用している。説明は割愛するが、移動手段が馬から車に替わり始めた頃に創業したブランドがダンヒル。乗馬、狩猟などのクラススポーツのひとつとしてドライビングが加わり、粋な装いが生まれた。このコートを粋に感じるのは、そうした背景からである。防寒性が高く、前振りの袖で、機能性も申し分ない。(注2)ベルスタッフのライダーズジャケットも然りである。
 レザーはウールやカシミア素材と比べて、まったく性質が異なる。経年変化、味の深まり方が違うのだ。レザーは着込まないと、その魅力を発揮しない。しかし、いったんなじみ始めると、自分の皮膚のような感覚でまるで体の一部のようになっていく。キズが付いても、またそれが味わいに。着るほどにいい風合いになる条件は、上質なレザーであること。今でもダンヒルが素晴らしいのは、質のよいものをずっと作り続けていることにある。それは歴史に裏打ちされている。一朝一夕になし得ない品格が、そこには存在する。他には(注3)コノリーも挙げられる。
 レザーのコートを粋に着こなすために、気をつけていることがひとつある。それは、「リッチ」に見えないようにすること。レザーはおおむね、高価である。だからこそ、リッチ風に着飾るのは、これ見よがしそのもの。リッチとクラス感はまったく違う。着込んで味わいが深くなったレザーであれば、それを着ている本人と自然な調和が生まれる。だからこれ見よがしなリッチにはならないのだ。これからレザーの新しいアイテムを手に入れるなら、着て外出する前に、できるだけ自宅で試し着を繰り返して、体になじませていただきたい。いかにも下ろし立てに見えるのでは、まるで借り物を着ているようだ。ダンヒルのレザーコートも、今よりは来年、そして10年後のほうが、さらに粋になっていると思うのである。

(注1) 「ダンヒル」
創業者であるアルフレッド・ダンヒルは、1880年代に馬具専門卸業を営む父の家業を引き継いだが、自動車のアクセサリーや小物販売に転身。今日では車を中心としたライフスタイルを提案するラグジュアリーブランドとして発展。


(注2) 「ベルスタッフ」
1924年、イギリスにて創業。本格ライダーズジャケットを扱う老舗。完全防水と通気性の両方を兼ね備えた「ワックスコットン」を世界で最初に使用し、イタリアや日本で大ブレイク。


(注3) 「コノリー」
創業1874年の英国王室御用達のタンナー。ロールス・ロイス、ベントレー、など高級車の内装用皮革として名高く、コノリーレザーと呼ばれ、レザー小物まで展開。


 

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ダンヒルの歴史を語る資料として貴重な「ONE HUNDRED YEARS AND MORE」。
車を中心としたライフスタイル、それにまつわるアイテムを提案した広告などが収められている。

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1900〜1970年のカーレースの模様を掲載している写真集。
クラシカルなレーシングカーとともに、当時の粋なドライビングスタイルを紹介。
現代に通じるよきお手本集。
赤峰氏の所蔵本より。

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粋な男の一人として、赤峰氏が挙げるのは名優クラーク・ゲーブル。エポーレット付きのレザーコートにタートルネックを合わせ、パイプでタバコをくゆらせる。この姿が実に洒脱。

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今月の赤峰ワードローブ [OCEANS掲載記事]

Y.アカミネのカバーコート

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乗馬用のコートをイメージして、街着用としてデザインしたコート。Y.アカミネにて4年ほど前に製作。素材はウェイトの軽いキャバリーツイル。上襟はベルベット素材。軽快に歩きたいから、着丈を短めに。ドライビングコート同様、クラススポーツ感が漂う一着。赤峰氏はジャケット代わりとして、カシミアニットに5ポケットパンツ、足元はジョッパーブーツで合わせるのがお気に入り。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

PHOTO

Akamine Royal Line 2009S/S&2009F/W Special Pattern Order会

Akamine Royal Line 2009S/S&2009F/W Special Pattern Order会

朝日新聞 be on Saturday "赤峰幸生の男の流儀"  『コットン・スーツのしわ』  2014年6月21日(土)掲載"

朝日新聞 be on Saturday "赤峰幸生の男の流儀" 『コットン・スーツのしわ』 2014年6月21日(土)掲載"

朝日新聞be on Saturday “赤峰幸生の男の流儀” 『袖丈、それが問題だ』 2013年4月27日(土)掲載

朝日新聞be on Saturday “赤峰幸生の男の流儀” 『袖丈、それが問題だ』 2013年4月27日(土)掲載

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