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メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2009年05月06日(水)

MEN'S EX 6月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.06 [MEN'S EX 掲載記事]

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「ラコステのポロシャツ10の着こなし」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第6回は、「ラコステのポロシャツ」についてのお話です。

Q 赤峰先生にとってラコステとは?
自分の相棒のような存在です
ポロシャツのクラシックといえばラコステ。私のスタイルを築く上で欠かせない、まさしく相棒のような存在です。特に好んで着ているのは、長袖のポロシャツです。イタリアでは年間を通して長袖のポロシャツを着るのですが、私も夏でも袖をまくって着ています。なかでもネイビー、白、グレイ、黒は基本として押さえておきたい色ですね。
 

■今回着たのはこの10枚■

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ラコポロは何枚あっても重宝します
1.台襟付きボタンダウンの長袖タイプ、ビズポロ 1万5750円、2.赤の長袖ポロシャツ 1万1550円、3.緑の長袖ポロシャツ 1万1550円、4.ヴィンテージウォッシュの白ポロシャツ 1万3650円、5.10年前にパリで購入した私物のボーダー鬼鹿の子ポロシャツ、6.ネイビーの長袖ポロシャツ 1万1550円、7.パープルの半袖ポロシャツ 9975円、8.私物のハイネックカットソー、9.エクリュ色の半袖ポロシャツ9975円、10.黒の半袖ポロシャツ 9975円/以上ラコステ(赤峰さん私物の58を除き、ラコステ)

■ラコステはポロシャツの基本の基といえるアイテム
M.E.  ラコステのポロシャツは、ヴァルスターブルゾンなどと並ぶ赤峰さんの七つ道具のひとつですが、出会いはいつ頃に遡るんですか?
赤峰  40年以上前ですね(笑)。20歳のときに学校でカトリーヌ・スパーク主演の「太陽の下の18歳」というイスキア島が舞台の映画を見たんですけど、その中に出てくる人物のほとんど全員がラコステのポロシャツを着ていたんですよね。ヨーロッパに根差しているな、カッコいいなって、心の中に凄く印象に残ったのが最初です。その後25歳のときにヨーロッパへ旅行したとき、パリのラコステで買ったのが僕とラコステとの出会いです。
M.E.  それからラコステひと筋で?
赤峰  そうですね。彼の地に行って、ラコステのポロシャツはフランスに土着した基本の基のアイテムなんだと肌で感じ、自分自身も白のポロシャツを買ってから、いろいろと揃えていきました。「太陽の下の18歳」の時代のヴィンテージラコステなども、ひなびたスポーツショップでデッドストックを買い漁ったり(笑)。エレガントスポーツの匂いがするという意味では、今も昔もなんら変わっていないんですよね。ラコステのポロシャツというのは特別な存在で、鹿の子ポロシャツとラコステのポロシャツというのは似て非なるものなんです。
M.E.  「太陽の下の18歳」でのラコステは、夜のプールサイドで着ていたりとラフな感じだったと思うのですが、今日赤峰さんが見せてくださった着こなしの中には、ドレスアップしたスタイルもありました。
赤峰  そうですね。ただ、決して肩肘の張った感じではなくて、イタリアのお爺さんたちが、中はラコステでフツウにスーツを消て、ピアッツァ(広場)で談義しているみたいなね。そういうお爺さんが着ているようなラコステのポロシャツの自然なこなしに影響を受けているんです。ラコステはフランスのものでもあるにもかかわらず、イタリア人の中での土着感みたいなものがあって、彼らにとっても基本の基のなんですよね。
 

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(←)着こなし1
夜のお出掛けはアイリッシュリネンスーツで
リヴェラーノ&リヴェラーノのアイリッシュリネンスーツに長袖のビスポロ、マンテラッシのスリッポンを素足で。「襟はさりげなく無造作に。テーマはリゾートの夜。」日本ではレストランの食事のときなどに」

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(→)着こなし2
赤のポロシャツ&ジャケットで築く週末スタイル
リヴェラーノ&リヴェラーノの綿ポプリンのJKに赤の長袖ポロシャツを合わせ、赤の長袖ポロシャツを。「赤は赤峰的差し色。ウイークエンドスタイルですね。ボタンは上まで留め、裾を軽く出しているのがポイントです」
 

■夏でも袖をまくって長袖を一年中愛用
M.E.  イタリア人は長袖を好んで着て、一年を通して愛用していますよね。
赤峰  そうなんです。で、日本では半袖に人気が集中していますけど、個人的には長袖を腕まくりして着るのが好きで、特に洗いざらしたラコステの袖口をまくって、それが味となってなんとなく雰囲気を醸し出すのが僕的には好きなんですね。袖口がびよびよに伸びちゃったりするんですけど、それもまた味わい深いかなって。
M.E.  そういう赤峰さん的な演出のテクニックを教えてください。
赤峰  襟に表情をつけますね。ただ、襟巻きトカゲみたいに極端に立てるのは好きではありません。丈が長すぎるのも好きではないので、場合によっては短くお直しして着ることもあります。裾を出したときの見え方は大切なので、そのへんは各人で調整するといいと思います。
M.E.  参考になります。
赤峰  あともうひとつ大切なのは、二の腕のフィット感。半袖の場合、腕の筋肉に対してちょうちん袖がきついくらいの感じでフィットしているのが、ポロシャツの着こなしではマストだと思います。
M.E.  勉強になります。ちなみにラコステは何枚くらいお持ちなんですか?
赤峰  昔買ったものも全部残してあるので恐らく40枚くらいだと思います。リーバイスの501にはノーマルから自分の色に落としていく楽しさがあるのと同じで、ラコステのポロシャツも、ガンガン着倒してからが、またいい味になるんですよね。そういった一枚を、襟に自分なりの表情をつけて着るのが赤峰的には好きですね。
M.E.  今回もとっても勉強になりました。ありがとうございました!
 
 

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(←)着こなし3
革ブルゾンで築く伊カジュアルの王道スタイル
32年着ているコノリーのレザーブルゾンに、リヴェラーノのピケパンツ、足元にはスペルガの2750。「レザーブルゾンとポロシャツは王道の組み合わせ。ザーブルゾンはパツパツで、ボタンをひとつだけ留めて着ます」

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(→)着こなし4
夏らしさ全開!白ポロシャツ+シアサッカーパンツ
ヴィンテージウォッシュのポロシャツに、アカミネロイヤルラインのシアサッカーパンツ。で、足元はスペルガの2750.「洗いのかかったポロシャツが、リラックス感を上手く引き出してくれます。夏らしさを表現した普段着」

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(←)着こなし5
ボーダーポロをパンツにインした街の散歩スタイル
メランジ調の鬼鹿の子のボーダーポロをリーバイスのコーデュロイパンツにイン。足元はコンバースのオールスター。「休日に街を散歩するときは、こんな感じかな。太めのベルトがアクセントになっています」

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(→)着こなし6
長袖&ショーツでリゾート地での散歩スタイル
紺の長袖ポロに、Y.アカミネの綿ツイルのショーツ、エスパドリーユという組み合わせ。「夏でも長袖を袖まくりして着るのが好きなんです。長袖のラコステは本当に重宝します。これはリゾート地で散歩する格好かな」

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(←)着こなし7
半袖ポロ裾を出してカジュアルに
パープルの半袖ポロシャツに、リヴェラーノのドリルクロスのパンツ、フローシャイムのコブラヴァンプというシンプルな合わせ。赤峰さんのスラックスの裾はすべてダブル。「パープルとベージュは好相性。裾を出して」

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(→)着こなし8
プールサイドで読書するときの水着スタイル
ポロシャツではないですけど、息抜き番外編。紺の長袖ハイネックカットソーに水着を合わせ、足元はコンバース。「海やプールサイドでの格好です。リラックス感を出すべく、長袖のカットソーで。サングラスは必須です」

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(←)着こなし9
ホワイトフランネルのパンツを合わせた正統テニススタイル
エクリュ色の半袖ポロシャツに、アカミネロイヤルラインのフランネルパンツ、マカフィーのホワイトバックスという合わせ。「全身をオフホワイトでまとめてみました。フランネルのパンツを合わせた正統テニススタイルです」

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(→)着こなし10
全身を黒でまとめたトレーニングスタイル
黒の半袖ポロシャツをトレーニングウェアとしても活躍しています。トレーニングをするときは、キリリと全体が引き締まった印象に映る黒で統一。下に合わせているのはアディダスのジャージ。「イチ、ニ、サン、シ〜」
 

今月のおさらい

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 赤峰先生にとってラコステに勝るポロシャツは存在しません
 長袖のポロシャツは夏でも袖をまくって着るのが赤峰流
 ちょうちん袖は二の腕にぴったりフィットが絶対条件

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2009年02月06日(金)

MEN'S EX 3月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.05 [MEN'S EX 掲載記事]

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「レザーブルゾンは365日の必需品」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第5回は、「レザーブルゾン」についてのお話です。

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Q レザーブルゾンはどんなときに着るんですか?
365日、シーンを問わず着ています。
「それこそ365日、いつでもどこでも着用します。クルマの中に一着置いといて、運転するときに羽織ったり、オフィスで着たり、レストランに行くときに着たり。フォーマルな場を除いて、どこにでも着ていけるアイテムなんです」と赤峰先生。右の写真は、親友のアントニオ・リヴェラーノ氏とミラノのリストランテでパチリしたもの。

Q レザーブルゾンの着こなしのルールを教えてください
小さめのサイズをシックカジュアルで
「まずはサイズ。私は1サイズ小さめを選ぶようにしています。レザーはパツパツで着てこそカッコいいからです。その上で、ボタンの留め方やジップの締め具合、襟の立て方などで、自分なりのアレンジを加えます。中に合わせるのは、夏場はポロシャツが多いですね。色は白かネイビー。シックカジュアルなスタイルで着るのが基本です

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左上◇「裏地がついてないインクロチャートのタイプのコノリーもの。薄くてしなやかで、非常にお気に入り。かれこれ32年着ています。1つ小さめのサイズを、ボタンを2つだけ留めてパツパツに着るのが定番」
右上◇Y.アカミネのスエードジップブルゾン「トリュフォー」。
スタンドカラーの襟だけ留めて着ることもしばしば。
右下◇Y.アカミネの、羊革のBDジップブルゾン。パツッと着て襟を立てて。

■イタリア人は真夏だろうと関係なしに着ています
M.E.  赤峰さんイコール、レザーブルゾンというイメージがあります。以前はご自身のコレクションでも毎シーズンのように発表されていました。
赤峰  そうですね。今から15年ほど前にY.アカミネブランドを立ち上げた最初のコレクションでレザーブルゾンを発表してから、全部で25モデルくらい作ってきました。フィレンツェ近郊の工場で作っていたんですけど、そこにあったヴィンテージのコレクションに、いろいろインスパイアされました。
M.E.  そもそも興味をもったきっかけは何だったんですか?
赤峰  高校生のとき観た、ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」ですね。モーリス・ロネが真夏にスエードのジャケットを素肌に着ているのを見てカッコいいなって。それがハマったきっかけです。それから15年後くらいにイタリアによく行くようになってミラノやフィレンツェを回ると、今でいうヴァルスターモデルが、イタリアでは春夏秋冬関係なく定番アイテムとして着られているのを知りましてね。ごく自然に文化として根付いているのを実感して、ますます興味をもったんです。
M.E.  確かにイタリア人って、夏でもレザーブルゾンを着ていますよね。
赤峰  ええ。イタリアだと海に近いところに行くと、よくレザーを着ます。特にヨットに乗る人やビーチにいる人たちは素肌にレザーのブルゾンを当たり前のように着ています。
M.E.  それもヴァルスター型が圧倒的に多いですよね。

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レザーブルゾンは小さめをパツパツに着るのがカッコいい!

(←)ジョルジオ ブラトーのパンチングレザーブルゾンに、ラコステの長袖ビジネスポロシャツ、アカミネロイヤルラインのモールスキンパンツに、スペルガの2750という合わせ。見えてませんが、靴下は白のコットンホーズ。

赤峰  そうなんです。で、そのヴァルスターモデルのルーツを調べると、実はミリタリーにあるんですよね。軍のモデルとして存在していた服が進化して、'30年代になってレースマシンのカロッツェリアの連中がテストドライブのときに着たり、作業用として着るようになったんです。それが、当時レースに出ていたイタリアのクラス階級の人たちに浸透していって、広がりを見せたわけです。同じアイテムがアメリカではバイカーブルゾンなどのハードなほうに進化していったのに対して、イタリアはクラススポーツのアイテムとして、軽く着やすさを求めて進化していったわけです。色もベージュやタバコが中心で、表革もありますけど、ほとんどはスエードなどの起毛系ですね。
M.E.  実際ご自身で着用されて、どういったところがお気に入りになられたのですか?
赤峰  シワになりにくくて、どこへでも着ていける便利なアイテムであるところです。幅広いTPOをカバーでき、レストランへ着ていっても恥ずかしくないですし、汚れていてもかえってそれがアジになって許されてしまう。そんな懐の深さを備えているところです。
M.E.  イタリア人はそれをどのように着ているのでしょうか。
赤峰  基本はシックカジュアルですよね。イタリア人は、彼らが大好きなラコステの白やネイビーのポロシャツと合わせて、下はウールのパンツや白のコットンパンツや5ポケットを合わせたりしています。ベージュのスエードと白のコンビネーションは、彼らの定番なんです。
M.E.  で、靴はスペルガの2750.
赤峰  そう。あと、トッズとかカーシューを素足で合わせたりですね。それがイタリア人のシックなカジュアルの装いの代表的なスタイルなんです。イタリア人の集まりに交じって一緒に食事をするときなんか、こういう格好で行くと、ごくごく自然に溶け込めます。下手にスーツを着ていくと、逆に浮いちゃったりすることもあるくらいです。
M.E.  なるほど。で、最後に着こなしのコツを教えてください。
赤峰  サイズ感ですね。僕はレザーに関しては小さめのフィッティングで着るように心掛けています。気分としては1サイズ下を選ぶ感じですね。で、ボタンの留め方で変化をつけたり、襟を立てて着たり。上手く自分なりのアレンジを加えてあげると、凄く雰囲気が出ると思います。それは今の時代の気分にぴったりとハマるんじゃないですかね。
 
 

◆赤峰塾長愛用のレザーブルゾン◆

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スエードブルゾンは薄いものほど価値があり
スキンのように薄いスエードが非常に贅沢な、今から24年前に購入したサルフラの一着。カーディガン感覚で着られる一着は、北イタリアのベルガモに工場を構える名門のサルフラのもの。(私物)

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オフホワイトのラムレザー製ライダーズブルゾン
イタリアのレザーファクトリーブランド、スチュワートのオフホワイトのラムレザー製ブルゾン。着丈は長めで、胸ポケットがポイント。赤峰さんのコレクションの中では、ややハード。(私物)

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Y.アカミネコレクションの貴重なアーカイブモデル
'04年頃に発表した、Y.アカミネのシープスキン製レザーブルゾン。スエードではなく黒の表革というのが、コレクションの中でも貴重な存在。赤のライン入りのリブがアクセントに。(私物)

◆赤峰塾長がオススメするレザーブルゾン◆

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ライニング付きの山羊革スエードブルゾン
薄くしなやかな山羊革スエードを用いたジップブルゾン。着脱可能なコットンカシミアのライニング付きで、保温性◎、着心地よさも◎の逸品です。39万9000円/バランタイン(アオイ)

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細身で洗練された人気ブランドの1着
下で紹介しているヴァルスターブルゾンは、今やイタリアの大定番品。人気ブランドのチンクアンタからも、やや細身のシルエットでラインナップ。12万750円/チンクアンタ(エディフィス 渋谷)

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1935年からの大定番 元祖ヴァルスターです
1911年、ミラノで創業したヴァルスター社が1935年に手掛けた「ヴァルスタリーノ」。ヴァルスターブルゾンの元祖とされる大定番品です。19万9500円/ヴァルスター(アッシュポール)

今月のおさらい

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 レザーブルゾンは真夏だろうと、シーンを問わず365日着られるアイテム
 レザーブルゾン、特にスエードのそれは、大人のシックカジュアルに欠かせない万能の服である
 レザーブルゾンは、ワンサイズ小さめを選んでパツパツに着るのが赤峰流スタイル
 基本アイテムだからこそボタンの留め方や襟の立て方などで自分なりの味つけを

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2009年01月06日(火)

MEN'S EX 2月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.04 [MEN'S EX 掲載記事]

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「男の色気はVゾーンに宿る」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第4回は、男のVゾーンについてのお話です。

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Q 今日のVゾーンにはどんな赤峰イズムが詰まっているんですか?
それはもう、たくさんのイズムが詰まっています
「シャツの襟先までの長さには、私なりのこだわりがあり、スーツに収まらない短めのタイプは絶対に着用しません。襟に適度なロールが生まれるワイドカラーを合わせるのが私の定番です。あとはノットがシャツ襟の返りの部分にぴったりくっついていることです。ここに空間を作っては絶対にいけません。また、ノットの形を左右を対称に結ぶのは、あまりよろしくなく、プレーンノットで、あえて左右非対称にして結ぶのがエレガントだと思います。そして、色。私の中では、白以外に使う色は原則2色までと決めています。今回は全体をブルーでまとめ、タイに茶の柄が入っているものを選びました。ブルーと茶は相性がよく、そういう相性のいい色同士を組み合わせるよう心掛けています。」

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Q 素敵なVゾーンを築くコツを教えてください
柄ものの合わせには気を遣います
「Vゾーンにおける柄ものの合わせにはかなりの気を遣います。まず合わせやすいのは、無地のタイを選ぶことです。そして、同じ大きさの柄同士を合わせないことですね。例えば、スーツとシャツにストライプを合わせるときは、両者のピッチを変えるようにしています。これは、柄もの同士を合わせる際の、私の中での鉄則です。色に関しては、基本はネイビーに茶、それとグレイに茶、あるいはブルー系で統一するなど、極力シンプルな合わせを心掛けています。」
 

■魔の逆三角形にこそ男のこだわりが凝縮されます
赤峰  ドーメルジャポンに加賀美さんという女性がいて、彼女と男のダンディズムの根っこはどこにあるのかという話になったときに、女性から見た男の色気はVゾーンのトライアングルのカタチで決まるとおっしゃっていましてね。1mmでもタイが緩んでいたら、男の色気を感じない、ここがぴったりフィットしていることが、男の色気の目安になるというんですね。これと同じような話をイタリアでも聞いたことがあります。私はこれを魔の逆三角形と呼んでいるのですが、これを踏まえながら、Vゾーンのキモはどういうところにあるかを考えていきたいと思います。
M.E.  よろしくお願いします。
赤峰  魔の逆三角形は上着とシャツとタイの3つが集中する部分であり、ゴージの位置・角度・ラペル幅は、シャツとタイの関わり合いという意味で、非常に重要です。今はいっときほどハイゴージをよしとしていなくて、レギュラーな位置に落ち着いていると思います。シャツの襟は、ワイドスプレッドで襟先に向かってほのかなロールが生まれるものを、赤峰的にはよしとしています。イングリッシュワイドと言われる剣先の短い襟は、私はあまり着ません。あれを着て美しいのは、首の長い人です。エジンバラ公なんかはよくきれいに着ていますけど、体型的に日本人はあまり首が長くないのであまりしっくりこないものと解釈しています。一番重要なのはタイのノットです。正三角形ではなく、左右非対称の、若干歪みのあるノットが好きですね。フルウインザーノットだと、完全に左右非対称になってしまって、結び目もおにぎりみたいでいただけません。結び方としては、ノットの下の位置が襟の返りの位置の高いところに上がっているものがきれいで好きですね。
M.E.  なるほど。
赤峰  次に合わせの話ですが、スーツの柄に対して、スーツ、シャツとタイの柄の大きさにはこだわりたいですね。それぞれの柄に強弱をつけるのがポイントです。その際、無地のタイはバリエーションで最初に揃えるべきです。無地のタイなら、上着とシャツのバランスを考えればいいわけですから。次に揃えたいのが、小ドットや小千鳥、織りで凹凸間を出したもの、ヘアラインストライプや小さいグラフチェックなどの、遠目無地の近目柄です。その際、全体を同系色、あるいは相性のいい色で合わせるのがポイントです。相性のいい色としては、ネイビー×茶、ライトグレイ×ピンク、ミディアムグレイ×茶×ブルーなどが代表的です。今日の私は同系のグラデーションでまとめていますが、2配色のうちのもうかたほうの色で靴やベルトなどのアクセサリーをまとめるとしっくりきます。むやみに色を使わないというのがすべての基本ですね。
M.E.  なるほど。

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個性を出すのもいいけれど、Vゾーンには守るべきいくつかのルールがある

(←)リヴェラーノ&リヴェラーノのフランネルスーツに合わせたシャツ、タイ、チーフはアカミネロイヤルライン。シャツはアルモのコットン、タイはフェルモ・フォサッティのシルク、チーフはカルロ・リーバのリネン。靴はニュー&リングウッド。
 

赤峰  次に素材の話です。タイの素材でいうと、代表的なところでは、イギリス、イタリア、日本のシルクがあります。イギリスの代表的なところでは、バーナーズの50オンスのガムツイルの生地ですね。これはナポリのマリネッラが使っていることで有名です。イタリアだと、コモ地方のフェルモ・フォサッティ社です。カルロ・リーバのグループ会社で、ここはフレスコの生地やサテン織りの生地が非常に得意ですね。発色の美しさは、群を抜いて素晴らしいですよ。日本だと、京都の西陣にあるオリシンという機屋ですね。横糸の密度がイタリアの生地屋と同じくらいに打ち込んであって、着物の帯からくる技術を上手に取り入れています。
M.E.  勉強になります。
赤峰  次にシャツ地です。私が一番気に入っているのは、スイスコットン。アルモ社のものですね。ここの生地はアルプスの水で洗うので、風合いが格段に違います。100番でも、120番とか140番に匹敵する風合いをもっています。イギリスの生地だと、一番好きだったのはウィリアム・ゲッツ。ここのコリコリしたブリティッシュポプリンは本当に素晴らしかったです。あと、アシュトンブラザーズも素晴らしかったのですが、現在は2社ともありません。その2社のスタイルを踏襲しているのが、エイコーンです。ジャーミンストリートのシャツ屋さんはここのを好んで使っています。あとは、トーマス メイソンやデヴィッド・ジョン・アンダーソン。英国の名前ですけど、今はメイド・イン・イタリーです。柄は昔のままなのでいいのはありますけど、頑固さはなくなってしまったかな。ちなみに、D.J.アンダーソンは、ロイヤルオックスフォードの生みの親です。最後に完全なイタリアですと、シクテス、それとオルトリーナ、テスタあたりでしょうか。話をまとめると、スイスの生地は仕上げが滑らか、イギリスの生地は質実剛健、イタリアの生地は、ひとことでいうとソフト、といったところでしょうか。あと、イタリアのカルロ・リーバはリネンのシャツ地がピカイチです。
M.E.  オーダー時の参考になります。
赤峰  チーフに関しては白のリネンがいいんですけど、柄モノは、絶対に同じ柄はしません。ちょっとフェイントをかけるような合わせが上級っぽくて好きなんです。私のほうでいくつか組んでみましたので、コーディネイトの参考にしてみてください。
 
 

◆赤峰先生的Vゾーン合わせ◆

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略礼服敵的意味合いのモノトーンコーディネイト
黒×白のキャンディストライプのシャツは、アルモの140双。これに黒ベースの花柄タイをコーディネイト。「スーツはもちろんミディアムグレイ。格子のチーフで洒落っ気を」。シャツ2万8775万円、タイ1万3650円(以上アカミネロイヤルライン/インコントロ) チーフ5040円(ロバート フレイザー/アイネックス)

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赤峰先生的、茶とグレイの絶妙コンビネーション
ツイル織りのグレイシャツに、茶&グレイのヴィンテージ柄のタイ、それに同系のグレイチーフをコーディネイト。「ミディアムグレイだと色がボワッとしてしまうので、チャコールのスーツで印象を引き締めるのがポイントです」。シャツ2万8775円、タイ1万3650円、チーフ8400円(以上アカミネロイヤルライン/インコントロ)

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柄の大きさを変えることで、柄を楽しむコーディネイト
シャンブレー織りのリネンシャツに、茶の幾何学模様のタイとチーフで、柄を楽しむ合わせ。「ウールでもモヘア混でも構いませんが、スーツはミディアムグレイ、靴は絶対茶を」。シャツ2万7300万円、タイ1万3650円(以上アカミネロイヤルライン/インコントロ) チーフ5040円(ロバート フレイザー/アイネックス)

今月のおさらい

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 タイのノットは左右非対称で、合襟との返り部にぴったりつくよう結ぶべし
 まずは無地のタイをしっかり揃えるべし。柄モノ同士を合わせるときはピッチに変化を
 色は同系色が基本。もしくは相性のいいネイビー×茶、ライトグレイ×ピンクなどをマスターせよ
 チーフは白のリネンが基本。上級を目指すなら、異なる柄で、共通項のあるものを

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2008年12月06日(土)

MEN'S EX 1月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.03 [MEN'S EX 掲載記事]

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「男が着るべきコート」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第3回は、男が着るべきコート、についてのお話です。

 
 
 

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Q 先生ならではのコートを教えてください
リバーシブルのステンカラーコートです
「よく着るのは、アルスター、チェスターフィールド、それからリバーシブルのステンカラーです。ステンカラーは私の場合、ほとんどリバーシブルに限定されます。ハリスツイードの綿のポプリン、ヴィンテージのバーバリーでチェックとギャバジン、綿ギャバジンとローデンクロスとのリバーシブルなどです。リバーシブルなステンカラーコートを着るときはドレッシーな格好に合わせます。日本ではあまりみられないですけど、英国では定番なんです。裏が見えたりして洒落ていますよね。私はこのリバーシブルのステンカラーが好きなんです」

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Q コートの基本素材を教えてください。
カシミア、キャメル、ウールです
「カシミアやキャメルなどの獣毛系、それとやはりウールです。ウールは毛掻き方の違いでメルトン、ベロア、モッサ仕上げの大きく3つにわけられます。メルトンは毛を縮ませて密度を濃くしたもの、ベロアは毛足が立っていて毛の流れがないもの、モッサはローデンコートのような、毛足が長くて一方通行で流れているものを指します。毛掻き方にまでこだわると、素材選びも楽しくなります。」

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Q 先生流のコートのこなしを教えてください
男らしく存在感のある着こなしが基本です
「コートは最も分量の大きいアイテムだから、存在感が大切なんです。最近のコートはジャケットと同じようにどんどん肩が入ってしまっていますが、そういうのって、私個人的にはコートを着ている感じがあまりしなく、あまり好きではありません。肩幅が出ていて存在感のあるコートがカッコいいと思います。また、温暖化もあって軽量化が進んでいますけど、差し引いても500g/m以上のウェイトはほしいですね。ペラペラしていると、オーバーコートには見えないですからね。」ちなみに右側の写真は、マフィアの真似をした赤峰先生。
 
 

■コートの基本モデル アルスターの魅力とは?
M.E.  今回は、コートのアカミネイズムを伝授していただきたく思います。よろしくお願い致します。
赤峰  了解しました。まずコートの起源からお話ししますと、ひとつは英国の陸軍から生まれたピークトラベルのダブルブレストで、エポーレット付きのコートがあげられます。いわゆるブリティッシュウォーマーと言われているものです。もうひとつは、皆さんご存知のチェスターフィールドコートです。これは貴族の人たちがイブニングの上に着ていたコートが始まりです。大きなところでは、この2つが入り混じったところから、今日のコートというアイテムが存在しています。
M.E.  勉強になります。
赤峰  これらを総称してオーバーコートと呼んでいます。その代表的なモデルが、ダブルブレステッドでピークトラペルの6つボタン、現在のオーバーコートの原型であるアルスターコートです。今は簡略化されて袖のカフがないものもありますが、本来は袖にカフが付いているものが基本です。また、バックベルトが付いたものもありますけど、私が今日着ているのはベルトなしのタイプになります。
M.E.  そういえば、赤峰先生はバックベルトを好みませんよね。
赤峰  ええ。オーバーコートはバックスタイルのフレア感によって、コートの美しさ、色気が表現されるものと考えているからです。バックベルトが付いていると、全体的に後ろが重たく見えるので、ベルトなしのシンプルで自然な形が好きなんです。が、これはあくまで個人の好みの問題です。
M.E.  なるほど。

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コートの色気は、肩幅のある存在感、フレアしたバックスタイルにあります

(←)モアブルックのベロアフィニッシュ生地でス ミズーラしたリヴェラーノ&リヴェラーノのアルスターコート、シャルベのシャツ、アカミネロイヤルラインのコーデュロイパンツ、ストール マンテラッシの靴(以上赤峰さん私物) カシミアニット/バランタイン11万250円(アオイ)

■それぞれの国で人気のコートを知っておく
赤峰  また、カシミアなどのチェスターフィールドがフォーマルのときに着るコートという位置づけなのに対し、アルスターコートは日常的に着るコートという位置づけで、ドレスのシーンだけに着るものと限定されません。今日の私のようなカジュアルなスタイルでも楽しめます。こなしも、ビタッとボタンを全部留めて着る場合もありますし、半分だけ襟を立てることもあれば、フルに立てることもあります。ダブルブレストの襟に、いかに自分らしさを出せるかが大切なんです。それともうひとつ。冬の寒い日には、グローブは不可欠です。バランス的に、素手だと手先が寒く見えてしまうからです。
M.E.  なるほど。ところで、それぞれの国を代表する形ってあるんですか?
赤峰  アメリカはステンカラーのイメージが強いですよね。「ティファニーで朝食を」のジョージ・ペパートが着ていたモデルで、白黒の千鳥のスーツに白シャツ、ブラックタイ、それはオフ白のステンカラーコート、みたいな感じです。それの影響を受けて日本でもステンカラーは人気があります。一方、ヨーロッパ全体にいえることは、ダブル、シングルにかかわらず、テーラード襟のコートが中心だということ。胸元をきっちり開ける文化なんです。イタリア人はアルスター、イギリス人はどんなときでもボロボロのチェスターフィールド、といったところでしょうか。あと、アメリカ人の真冬だと、キャメル100%とかキャメル混のポロコートかな。ポロコートはイギリス生まれですけど、アメリカで育ったみたいなところがあって、イギリスではあまり見かけません。アメリカ人の影響を受けてイタリアでは結構見かけますが、フランスでは見ないですよね。
M.E.  各コートにそれぞれ国のイメージがあるというのは、自分のスタイルを築くうえで勉強になります。
赤峰  あと、最近はジャケット同様にコートも肩幅が狭まっていますが、オーバーコートは肩幅が出ていて存在感があってこそカッコいいものだと思います。あとは、ウェイト。私が今日着ているのは700g/mですが、最低でも500g/mはほしいところです。コートは風格が大切。ある程度どっしりしていないと、オーバーコートには見えないですからね。
 
 

◆赤峰先生のお気に入りコート◆

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肉厚キャメルのバルマカーンタイプ
600g/mの肉厚なキャメル100%の生地を贅沢に使った、バルマカーンタイプのコート。時代やシーンを選ばずに着られる、1着です。42万円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

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リヴェラーノで仕立てたウールカシミアのアルスター
リヴェラーノ&リヴェラーノで8年前に仕立てたという、カシミアウールのアルスターコート。ウェイトは750g/m。シルエットもどっしりした、赤峰先生を象徴する1着です。(赤峰先生私物)

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キャバリーツイルのロングアルスター
ヘビーウェイトのキャバリーツイル製で、肩幅広めのロングアルスター。「ロング丈なので、後ろのフレアなラインがきれいに出ます」と赤峰先生。23万円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

◆進化した今どきのオススメコート◆

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トレンチの名門が手掛けたシングルトレンチ風コート
伊の名門ヘルノの、中綿入りコート。ウール85%、コットン15%。「肩は入っているけれど、これはカッコいい。非常にきれいなラインをしています」と赤峰先生。11万250円(ビームスF)

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伊の正統スタイルのアルスターコート
英国生地を使用したアルスターコート。「今のバランスで表現したクラシックなアルスターの基本。仕立ても素晴らしいし、よくできていますよね」。15万5400円/サルトリア パルマ(ビームスF)

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感覚で羽織れる軽快カシミアコート
ナポリの新星の、カシミア100%による4つボタンの変形チェスター。「オーバーというよりサラリと羽織る、ジャケット感覚のコートですね」。36万5400円/スティレラティーノ(ビームスF)

今月のおさらい

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 オーバーコートはバックスタイルのフレア感によって色気が表現されるもの
 男のコートスタイルの肝は襟にあり。襟で自分らしさをどう表現するかが大切
 何よりも存在感が大切なコートは、肩幅の広いものを着てこそ男である
 生地のウェイトは500g/m以上、それ以下だとコートの存在感が生まれない

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MEN'S EX 1月号記事 あの人が夢中になっているのは「日本製」でした!“私的”傑作品 [MEN'S EX 掲載記事]

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インコントロ代表 赤峰幸生さんの“私的”傑作品
アカミネロイヤルラインの尾州産ファブリック

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ここが傑作!
着るほどなじむ強い打ち込み
赤峰さんが所有のヴィンテージ生地などを見本に、完成した入魂のウールモヘアトニック。目付け440gのコシのあるタッチは、体の一部のようになじみます。

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日本だからできる肉厚素材

時代を超えて着られるクロージングを作り続ける赤峰さんは、昨今のインポート生地が軽くなってきたことに不満だったとか。「そこで、織物の名産地である尾州で、自らオリジナル生地を作ることにしました。型崩れやシワのつきにくい、タフな素材は、もう海外では作れません!」。ラペル周りに出る美しいドレープが魅力です。スーツ価格18万5155円(参考上代)(インコントロ)

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2008年11月06日(木)

MEN'S EX 12月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.02 [MEN'S EX 掲載記事]

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「フランネルスーツの立ち位置を知ろう」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第2回は、「フランネルスーツ」のあれこれ、についてのお話です。

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Q フランネルってどんな素材?
縮絨した生地を起毛させた素材です
「糸を平織りもしくは綾織りにしたあと、その生地を軽く縮絨させてから、最後に起毛させた素材のことです。弾力性があって保温性が高く、霜降り感のあるのが特徴です。英国やイタリアでは紡毛のものが一般的ですが、日本製のフラノは梳毛のものが一般的です。」

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Q どんなシーンで着るんですか?
フォーマルな場を除いた日常のシーンです
「写真のウィンザー公のように、フランネルは、もともとハンティングやゴルフのときに着用していた素材です。位置づけは、あくまでスポーツの中でのドレッシー。日常のビジネスシーンはOKですが、パーティのときは、冬でもモヘア混のスーツを私は着用します。」

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Q 最も有名なフランネルは?
英フォックス ブラザーズのフランネルです
「英国のフォックス ブラザーズのフランネルでしょう。英国らしいハードな生地で、着込むほどに味わいを増す素晴らしい生地です。そのフォックスと対極を成すのが、イタリアのカルロ・バルベラです。イタリアらしい色柄の出し方に加え、ソフトな風合いが魅力です。」

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Q フランネルの魅力ってなんですか?
使い勝手のよさ、季節感を表現できるところです
「冬らしさを表現でき、タイドアップに限らずタートルネックニットを合わせてもいい。コーディネイトが万能なところです。私が好きなミディアムグレイのフランネルは、白やブルーに限らずピンクやベーシュなど、シャツの色を選ばずに合わせられるのも魅力です。」
 

■フランネルは、あくまでスポーティという位置づけ
M.E.  今月は、赤峰さんの十八番、フランネルについてお願いします。
赤峰  了解しました。起毛した生地をネル仕上げといって、通常フラノとかフランネルっていうんですけど、スーツ地の場合、ミディアムグレイの、それも白の色が混じった霜降りのトップ生地が基本になります。織り上げたものを縮絨して目を詰まらせてから毛を掻くのですが、このときにハードに詰まらせると、メルトンになるわけです。ちなみにフランネルは、平織りも綾織りもあります。
M.E.  なるほど。
赤峰  もともとフランネルの立ち位置として、スポーツをする時の素材、というのが基本にあります。ドレッシーな素材であると思われていますが、スポーティな中でのドレッシーな素材であって、フォーマルなものではないんです。だから前回お話したように、パーティのときなど、私は冬でもモヘア混のスーツを着ています。
M.E.  覚えておきます。
赤峰  30代前半のときにシトラッチャン&シュトラウドっていう英国のフラノを代表する生地メーカーと出会ったんです。ここは当時のバーバリーとかアクアスキュータムのフラノのブレザーの生地を作っていたところなんですけど、そこの工場に行ったら、ちょうど世界ビリヤード選手権で使うビリヤード台の生地を織っていまして。それを見てフラノに興味をもって、調べていくと、かつてはウィンザー公をはじめ、富裕層がハンティングのときに着るスーツだったり、ニッカボッカにアーガイルの靴下で、ゴルフをするときに着ていたり、もともとはスポーツをするときの素材だということがわかったんです。ニューヨークヤンキースのベーブルースが着ていたユニフォームは、コットンが30%入ったフランネルだった、なんて話もあります。これはドーメルの本社でアーカイブブックを実際に触らせてもらったのですが、モヘア混らしいシャリ感があって、独特のタッチでしたね。

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ミディアムグレイのフランネルスーツは
冬の普段使いに最適です


(←)やや粗め霜降りの、英フォックス ブラザーズのフランネルを使ったアカミネロイヤルラインのスーツ。アカミネロイヤルラインのシャツ、フィレンツェのプリンチペのタイ、信濃屋の白井さんから譲り受けたシルヴァノ ラッタンツィの靴というスタイル。

■粗挽きのミディアムグレイ それも400g以上がいい
M.E.  それは面白い話ですね。では、赤峰さん的フランネルとはどのようなものかを教えてください。
赤峰  色はミディアムグレイに限ります。チャコールもあるのですが、赤峰的にはジャストミディアム。ミディアムグレイは、白やブルーはいうまでもなく、ピンクや薄いベージュなど、ほとんどすべてのシャツと相性がいいんです。次にチェックするのは、生地の重さです。アカミネロイヤルラインで別注している生地のウエイトは、一番重いもので475g/m。だいたい400g以上のものが多いですね。ただ、一般的には320gくらいが平均です。
M.E.  なるほど。
赤峰  そして、もうひとつ大切なのが、グレイの揉み加減です。グレイのトップ霜降りの粗挽きなのか、中挽きなのか、細挽きなのか。赤峰的には、よりスポーティな、中より粗めの、霜降感がわかるものが好きですね。
M.E.  勉強になります。フランネルのスーツのコーディネイトで留意すべき点を教えてください。
赤峰  まず、今日履いているようなスポーティなドレス靴を合わせます。スエードとかね。タイはウールがいいですね。綾織りのもいいけど、平織りの少しネップの出たものとかウールバスケットとか、表面のある素材のほうが、よく合うと思います。今日はクリースを入れていますけど、本来はクリースを入れずに穿くほうがらしいかな。
M.E.  味わい深そうですね。
赤峰  秋から冬にかけて寒くなると、フラノの季節の到来を感じます。皆さん冬でもウーステッドのクリアなスーツを着ていますけど、僕は毛羽立ち感のあるフラノのスーツが好きですね。季節を楽しめますから。
 
 

◆赤峰塾長がオススメするフラノ生地はコレ!◆

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フォックス ブラザーズのフランネル
フランネルといえばフォックス、というくらいに有名な英国のミル。英国らしいゴワゴワした質感が持ち味で、着るほどに馴染んでいくのを楽しめる生地です。400g/m

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モクソンのスーパー180'sフランネル
英国の中でも最高級のミルが、モクソン。スーパー180'sの原毛を用いたラグジュアリーフランネル。赤峰さん的にいう細挽きタイプで、霜降りは控えめです。340g/m

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カルロ・バルベラのライトグレイ フランネル
伊ビエラのカルロ・バルベラは、しなやかで滑らかなタッチに定評あり。色・柄出しの美しさもイタリア屈指。さらにコシも備わっていて、赤峰さんも太鼓判。370g/m

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アカミネロイヤルラインの国産フランネル
これぞアカミネグレイというべき、ミディアムグレイのフランネル。赤峰さんディレクションのもと、国内で織られたアカミネロイヤルラインのもので、475g/m

◆赤峰塾長がオススメするフラノスーツはコレ!◆

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英フォックスのイエローフランネルを使用
英フォックス ブラザーズの黄味がかったグレイの、肉厚なイエローフランネルを使用。385g/m。ダブルブレステッドスーツ18万9000円/リングヂャケット(リングヂャケット マイスター)

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英フォックスに完全別注したホワイトフランネル
「華麗なるギャッピー」に想を得て別注した、ヘビーウエイトのホワイトフランネル。3ピーススーツで13万6500円(オーダー価格)/ザ・スタイルゲイト ファンダメンタルモデル(伊勢丹新宿店)

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生地から取り組んだヴィンテージの復刻フラノ
英国のミルに赤峰さんが別注をかけてヴィンテージの生地を復刻。ブルーグレイの色出しも◎。400g/m。赤峰イズムが詰まった1着です。22万5855円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

今月のおさらい

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 フランネルスーツはパーティで着るべき服ではない。位置づけはあくまでスポーティ
 色は着回し万能のミディアムグレイに限る。それもやや粗挽きの、霜降り感があるものがいい。
 今日の平均的なウエイトは320g/m。赤峰的フランネルは最低400g/m以上
 合わせるのはウールタイ、それも素材感があるものが基本。足元はスエードか、スポーティなドレス靴を

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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今月の赤峰ワードローブ

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OCEANS 7月号 連載#4

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朝日新聞 be on Saturday "赤峰幸生の男の流儀"  『調和を意識して』  2014年7月5日(土)掲載"

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