AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2014年04月12日(土)

朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「擦り切れたバブアー」 2014年4月12日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

「オイルドジャケット」という品物をご存じでしょうか。水をはじく合成繊維が登場する前に、コットンクロスにベタベタとオイルを塗りつけ、防水性能を上げて作られました。19世紀末に創業した英バブアー社のものが有名です。

もともとは貴族が狩猟を楽しむ際に羽織る「暇つぶしスタイル」。ですから、ロンドンのビンテージショップで年代物のバブアーを見つけると、獲物を入れた背中の大きなポケットには、動物の血が黒ずんで残っていたりします。

私がバブアーを買ったのは、23年前。商用で訪れたイタリア・ミラノのスポーツショップで気に入りました。紺色も緑色もありましたが、大好きな茶色を選択。私にハンティングの趣味はありませんので、ホテルの風呂場でお湯を使ってオイルを落としてしまいました。当時の新品は、オイルのにおいがとてもきつかったのです。

画像(320x247)・拡大画像(640x494)

イラスト・YAB

以来、毎朝の犬との散歩や、休日の散策に大活躍しています。草地で敷物代わりに尻の下に置いてしまうこともあり、あちこちが擦り切れていますが、それもまた味わい。スーツスタイルに羽織っても決まり、街の中でも十分に使えます。

このバブアーが最近、若者の間で再び人気になっているといいます。マッキントッシュのゴム引きコートも同様に、今となってはもっと軽くて便利なレインコートが登場しているのに、なぜ注目されるのでしょうか。

私は、スマホも電子レンジも押すだけで済む便利な世の中だからこそ、昔ながらの「ローテク」加減が受けているのだと思います。武骨で懐かしい感覚を呼び起こすものが、新しい。大きくデザインを変えずに作り続け、普遍性を獲得したバブアー社にも拍手です。

Posted by インコントロ STAFF at 09時00分   コメント ( 0 )

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