2013年08月29日(木)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 『生きざまを撮る男』 2013年8月24日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
もう7年ほど前になるでしょうか。年に2回訪れるイタリア・フィレンツェの男性服見本市「ピッティ・ウオモ」の会場で、眼光鋭い男から「あなたの写真を撮らせてくれないか」と声をかけられました。
男の名は、スコット・シューマン。ストリートスナップを生業とする、世界的なカメラマンです。
彼が撮るのは、「ピカピカに着飾った人々」ではありません。真骨頂は「ダシが効いた男たち」ではないでしょうか。
着込んでほつれた上着の縁や、くたびれてきたシャツのしわまで、撮影対象に迫っていきます。結果、彼が撮った写真には、服を着た人々の生活や生きざまがにじむのです。
彼が「この街ではこんな人が生きているよ」と伝えているサイト「サルトリアリスト」には、世界中から日に何千、何万とアクセスがあるといいます。かねてファッションは真新しいもの、生活感を感じさせないものが良いとされてきたと思いますが、今や人々の日常の装いこそが関心を呼び、共感を得ていることがわかります。
裏を返せば、先進的な服を着るのがかっこいいのではなく、自分が選んだ服を着て、「創造的に生きていくこと」こそが問われているのでしょう。
また、移り気で常に服装を「ファッショナブルに」変化させていかなければならないと考えていては、外見ににじみ出るような個性は育たない。私は「個性とは脈々と続けていくことだ」と思います。
スコットとは以来、会っては食事をともにし、親交を温めています。今年6月にミラノで再会した時には、「撮りためた写真で今度、『アカミネ・アルバム』を作るよ」と言ってくれました。
完成が楽しみです。
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Posted by インコントロ STAFF at 17時29分 コメント ( 0 )