2012年10月06日(土)
朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘クラシックを意識するなら’』2012年10月6日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]
前回はカジュアル化が進んだファッションの世界に芽生えた「クラシック回帰」という動きについてお伝えしました。特に意識されるのは、紳士の楷書体とも言うべき基本が確立された1920年代から30年代ですが、かの時代にはピカソ、チャップリン、ダリ、ゲーリー・クーパー、フレッド・アステア、ウィンストン・チャーチルと、各界にダンディズムを体現する男たちがいました。ジャン・コクトーらがパリのカフェで文化を熱く語り合った時代です。
近年、ジャケットとスラックスを組み合わせて楽しむ「ジャケパンスタイル」が広まりましたが、ジェントルマンの基本はやはりスーツ。シングルでもいいしダブルブレストのスーツもいい。上衣は全体にフィットし、スラックスはゆったりしたバランスが目立ちます。
シングルのスーツでも上着のボタンは三つよりは二つ、上着の背に入る切れ込みはサイドベンツよりはセンターベントにクラシカルな雰囲気があります。ラペル(下襟)の幅も9〜10センチとやや広めで、服の存在感が強調されています。先端が上向きにとがっている「ピークドラペル」もクラシックな装いを感じさせるディティールだと言えます。
中に着るシャツの襟は近年、襟先がやや広めのワイドスプレッドが一般的ですが、クラシックを指向するなら襟先が長いナロー(狭い)カラーがいい。
こうした「楷書体」とも言える基本的な服は、流行に左右されないロングライフデザインです。カジュアルで軽い装いが増えた中で、パリッと決めるのが粋。次回は着こんでいくほどに味わいが増していく「価値ある生地」についてお伝えしましょう。
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Posted by インコントロ STAFF at 00時00分 コメント ( 0 )