AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年02月06日(水)

MEN'S EX 3月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.21 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてお互いのファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
巻き物講座

この連載で、毎回巻き物をしてご登場くださっている、巻き物大好きな菊池さん。一方の赤峰さんも、巻き物をするときは見せ方にかなりのこだわりがおありのようでして。だったらそれを披露してもらいましょうということで、今回は、巻き物講座。

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■(写真右)菊池武夫氏
・ウェグナーのフェルトハット
・アン・クラインのシルクスカーフ
・40カラッツ&525のヘリンボーン一枚仕立てのウールカシミアジャケット
・40カラッツ&525のシャツ
・Gスターのジーンズ
・MBTのシューズ

■(写真左)赤峰幸生氏
・アカミネロイヤルラインのプロトタイプのアスコットタイ
・アカミネロイヤルラインのシャツ
・ヴィンテージのシルクのブラックチーフ
・リヴェラーノ&リヴェラーノのドーメルのトニック生地製ス・ミズーラスーツ
・ジョン ロブのシューズ



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■イタリアやイギリスではなく巻き物といえばフランス
赤峰  巻き物といえば、菊池先生ですよね。
菊池  巻き物って洋服と合わせるのが前提ですから、それなりのバリエーションが必要だと思うんです。でも、僕の場合、ルイ・ヴィトンは別として、どこのブランドのものかわからないようなものもたくさんあります。マーケットで数百円とかで手に入れたものもありますし、値段にはあまりこだわらずに色や柄で気に入ったものがあるとその場ですぐに買っています。だからそのぶん数は結構持っています。
赤峰  その中で今の気分に合っているものを選んで、使っているんですね。
菊池  ええ。この間まではストール風のものを巻いていることが多かったんですけど、ここ最近は大判のハンカチタイプを小さく畳んで巻くスタイルが好きですね。春だとそういうほうが合っているのかなと思います。あと、もうひとつ、ルールとか特に考えずに自分の好きなように巻いています。自分流の巻き方を身につけるには、やっぱりフランス人の巻き方が参考になります。映画「ペペ・ル・モコ(望郷)」とか、崩し具合っていうのかな、なんかこう絶妙にカッコよかったのを覚えています。
赤峰  巻き物っていうと、イタリアとかイギリスじゃなくてフランスなんですよね。文化の中に巻き物が根差しているとでもいうのかな。フランス人って、より自由自在に自分のイメージで巻くみたいなイメージがありますよね。

■往年の映画俳優の巻き方は大いに参考になった
M.E.  赤峰さんはあまり巻き物をされているイメージがないですよね。
赤峰  最近はあまり巻かなくなりましたけど、昔はよくやっていましたよ。一番憧れたのは、ケーリー・グラントの映画の中で出てくる巻き方で、グルグルに巻かれたストールがタートルの下からチラリと覗いているんです。巻いてからタートルネックニットを着るなんて技があるんだって思いましたね。もうひとつは映画「ジャッカルの日」で襟腰の高いシャツにかなりグルグルにアスコットを巻いているシーンがあるんですけど、それもまた凄く印象に残っています。
菊池  あの俳優はカッコよかったですね。映画として面白かったですしね。
赤峰  あとはパトリス・ルコント監督の「イヴォンヌの香り」。エルメスのだと思うんですけど、女性もののスカーフをオヤジが巻いたりしていてね。そういう文化がフランスにはあるんですよね。あと、イタリア人だとマストロヤンニ。
菊池  ああ、上手いですね。マストロヤンニはやっぱり格好いいですよね。
赤峰  映画「甘い生活」の中で、白のスーツに黒シャツを合わせて、黒のハンカチをピッと結んでいるシーンがあるんだけど、イタリア的には胸がはだけた感じをアピールして着るのが基本ですよね。やっぱりその辺に国民性が出てきます。

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(→)タケ先生のここ最近のお気に入り私物
タケ先生私物。背もたれにかかっている左の3点は、70年代に流行ったレーヨンのストール。一番右のものは最近購入。座面にある右の4点がルイ・ヴィトン。座面の左は一番手前がアンナ・マトッツォ。ほかはアンティークショップや蚤の市などで購入したもの。

M.E.  なるほど。ところで今日は、お二人にお気に入りの巻き物を持ってきていただいています。タケ先生、たっぷりありますね(笑)。面白いところだと、レーヨンのタイプ(↑写真・ソファの背もたれに掛かっている左の3点)があります。細くて最近はあまり見かけないタイプですね。
菊池  ’70年代にローリング・ストーンズとかがしていて、ミュージシャンの間で流行っていたやつです。
赤峰  タイ代わりにアクセントとして首に掛けていましたよね。こういうのって、シルクだといいんですけどふかつくんです。言ってみれば、落ち着きがない。その点、レーヨンだとドボッと重たい感じがして安定感が出るんですよね。だいぶ印象が違います。
菊池  僕もやっぱり垂らす用として使っています。
M.E.  なるほど。次、タケ先生の大定番のルイ・ヴィトンのストールです。
菊池  これは本当に気に入っていて、かなり重宝しています。何がいいって裏と表で色が違うので、洋服に合わせるのに非常に便利でして。
赤峰  ほーう、表と裏で素材も違うんですね。羽二重とジョーゼットの組み合わせですかね。羽二重は光沢のプリントで、ジョーゼットは透かしのジャガードになっているのか。これはなかなかですね。非常に面白い。
菊池  ジョーゼットの面のほうが大抵色が濃くなっていて、重宝しています。とにかくこれは、色違いで5枚くらい持っていて、それほど気に入っているんです(笑)。

■ルールにとらわれるのでなく自分らしさを表現するのが大切
M.E.  赤峰さんはヴィンテージのお気に入りを絞り込んでご持参くださいました。
赤峰  今しているドットのやつは、アカミネロイヤルラインのサンプルで、持参した2枚はヴィンテージです。1つはシルク、1つはレーヨン。僕の場合、最近は巻き方も限られてきていますけど、いずれもあまり凝らずにシンプルに巻くのが好きですね。ただ、こだわっているのは、首の高い位置で巻くこと。必ず後ろからきっちり見えるように巻いています。その中で未だにやってしまうのは、普通にクルッと巻くだけの一番シンプルなスタイル。子供のときにスキーをしていたときの延長のスタイルを、ついつい反抗的にやっちゃうんですよね。これでいいじゃないかってね(笑)。もっと凄いバージョンのだと、イタリア人とかで肩に掛けているだけの人とかいますから。
菊池  ハッハッハッ(笑)。
赤峰  と言っても本当、老人の紳士ですけどね。で、風がピュッて吹くと「寒いね」とか言いながら、その大判のやつをグワッと巻いてね。それが凄く絵になるんですよね。
菊池  それは凄い。計算してやっているんでしょうね。ヨーロッパの人は年齢の高い人とかコートに手を通しませんものね。きっと彼らにしてみれば、ケープやマントを羽織る感覚なんでしょうね。
赤峰  あと、昔の西部劇のアラン・ラッドとかじゃないですけど、バンダナのデカいのをピッと巻いてね、あれもカッコいいですよね。日本でいうとほうきで掃くときに豆絞りをするのと同じ感覚です。
菊池  そういえば、中学生のとき、高下駄履いて手拭いを首に巻いてバンカラぶっていたことがありました。その頃から首に巻くのは好きだったのかもしれません。今でも手拭い屋で買った手拭いも愛用しています。結構お洒落でいい柄があるんですよね。
赤峰  必ずしも洋服屋に売っているものだけでなく、あまり制約を持たせずに色合わせだけ気をつけて、いろいろ試してみるといいと思います。
菊池  本当、そのとおりだと思います。
赤峰  最近、多摩川をジョギングしていて、無地のウエアにタオルを首に巻いて走ってるんですけど、タオルの色が気になって、なんでもいいよってワケにはいかないんですよね。気分によってはACミランのスポーツタオルがいいなっていう日もありますし、その感覚はストールやマフラーにもあてはまるわけです。本当、そんな感じでいいんです。
菊池  大切なのは、どういうルールがあるかではなく、どう今の自分を表現するか、そこにあると思います。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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