2013年11月18日(月)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「ビンテージになる服を」 2013年11月16日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
かねて「装いに用いる色は、身の回りの自然を参考にしましょう」とお伝えしています。秋が深まり、熟した柿の色をネクタイや服地のチェック柄にさりげなくあしらう紳士を見ると、「おぬし、やるな」と感じ入ります。枯れた草原を思わせるツイードも季節感があっていい。
さて今回は、私が英国を訪ねた時の楽しみの一つ、「ビンテージ」と呼ばれる古着を巡る散策についてご紹介しましょう。
ロンドンには、骨董市で有名な「ポートベロ−」のほかにも、味わい深いビンテージが見つかるお店が点在しています。9月にも、ケンジントンの「ホーネッツ」など、なじみの店を訪れて、掘り出し物がないか見て回りました。
日本には残暑があったのですが、かの地は初秋の冷え込みで、思わずコートを買いました。状態にもよりますが、バーバリーやアクアスキュータムといったブランドのものが1万円前後でもあり、たいへんお買い得だったのです。
履き込んだ靴も大好きです。私は着込んだ服を好むので、新品の靴ではしっくりきません。古い靴なら今の自分の装いにそのままぴったり合うものが見つかるのです。
英国には古い服を直して着る文化があります。特に礼服などでは多く利用されているようです。ビンテージになった良品には、ローテクで速度を落として作られたものの良さがあり、そこには「クラシックの継承」という精神が確かに息づいています。そして日本を振り返り、「トレンド消費の果てには、ビンテージは生まれない」と考えさせられるのです。
「孫にも受け継いでいける素材が使われているか」。新しいスーツを買う時には、そんなことも考えてみてください。
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Posted by インコントロ STAFF at 10時07分 コメント ( 0 )