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メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年04月05日(土)

MEN'S EX 5月号 菊池武夫と赤峰幸生が選んだ 古今東西お洒落な男 BEST5 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
本誌の連載ページ「Be Buffalo Forever!」のお2人に、歴史上のお洒落な人物をそれぞれ5人づつあげていただき、それぞれの5人について、たっぷり語っていただきました。

 

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■(写真右)菊池武夫氏
・ボルサリーノの帽子
・アメリカンアパレルのジャージ素材ストール
・ヘルムート ラングのミリタリージャケット
・デンツのペッカリーグローブ
・聖林公司のカーゴパンツ
・オールデンのコードバンタンカーブーツ

■(写真左)赤峰幸生氏
・トゥータルの’50年代製アスコットタイ
・Y.アカミネのフレスコ織りシャツ
・アカミネロイヤルラインのシアサッカーパンツ
・デッドストックのフランス製ホーズ
・ニュー&リングウッドのスリッポン

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MEN'S EX大賞 【第1位】

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菊池さんが選んだ古今東西お洒落な男第1位は・・・
アーネスト・ヘミングウェイ
ライフスタイルを反映したスタイルに定評あり
1899年、米イリノイ州生まれ。小説家。代表作は「武器よさらば」、「老人と海」など。’54年、ノーベル文学賞受賞。私生活では、趣味のアウトドアやハンティングなどのライフスタイルを反映した、アバークロンビー&フィッチのサファリジャケットなどを愛用していました。’61年、銃で自殺。


赤峰さんが選んだ古今東西お洒落な男第1位は・・・
ウィンザー公
当時の常識を覆した稀代のウェルドレッサー
1894年〜1972年。’36年、英国王室の王位を継承し、エドワード8世となるも、女性との恋を優先して1年経たずに退位を決意。ウィンザー公となります。稀代の洒落者として知られ、今では当たり前の、グレナカートチェックスーツにスエードのブローグシューズを合わせたのも、彼が最初です。
 

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■お2人が心底お洒落だと思った歴史上の5人の人物とは?
M.E.  今回のテーマは、「お2人が選んだ古今東西お洒落な男BEST5」です。事前にアンケートを記入していただいたわけですが、それによると、タケ先生の1位はヘミングウェイです。
菊池  ヘミングウェイの作品は子供のときから読んでいて、長編はもちろんそうなんですけど、短編も素晴らしくて、凄く共感できるんです。彼の作家として生きてきた証が、彼の風貌、服の着こなしに強く表れているんですよね。海外の戦場に出掛けたり、ハンティングや釣りを趣味にしていたりと、何かとアクティブなイメージがあります。実際、彼のファッションとしてパッと思い浮かぶのはサファリの姿です。
赤峰  今日の着こなしはまんまヘミングウェイといった感じですね(笑)。
菊池  かなりアレンジはしていますけど、彼をテーマに今っぽく着るんだったらこんな感じかなと。
赤峰  確かにヘミングウェイといったら、今日のタケ先生の格好みたいなサファリのイメージがありますよね。
菊池  そうですね。サファリの格好をイメージしながら、軍服でアレンジしてみました。アフリカの砂漠の砂嵐を防ぐ意味を込めて、いつものルイ・ヴィトンのスカーフを中に巻いて、その上にスカーフを中に巻いて、その上にスカーフを二重に巻いているのがポイントです。
M.E.  赤峰さんの1位はウィンザー公です。
赤峰  ウィンザー公っていうとスーツスタイルばかりがクローズアップされていますけど、僕の中ではひょうきんな人だったんだなというイメージがありまして。普通の人はやらないような合わせをするんですよね。(持参した写真の切り抜きを見せて)モノクロなのでわからないですけど、色のトーンを合わせながらパターン・オン・パターンとかにしていると思うんです。国を代表してのオフィシャルな場と普段着とでは、だいぶ差があったんだろうなって。堅い中にもおふざけがあるところが結構好きですね。
菊池  これはウィンザー公がやっているから成立しているっていうのもあるし、英国っていうよりアメリカに移ったあとの着こなしかなって感じですよね。それにしても、ギンガムチェックを選ぶあたりはサスガですね。
赤峰  “すべての道はロンドンに通じる”じゃないですけど、アメリカ的な表現やイタリア的な表現もあるけれども、もともとは英国だしロンドンだし、いってみればバッキンガム宮殿だし、ウィンザー公のスタイルに行き着くんですよね。
菊池  今流行しているアメリカンスタイルだって、もとをたどればほとんど英国のものですからね。

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菊池武夫さんが選んだ古今東西お洒落な男 BEST5

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MEN'S EX大賞 第2位
ジョン・F・ケネディ
品のよいスーツスタイルが好感度大
1961年、43歳の若さでアメリカ大統領に就任。ハーバード大学出身ながら、彼が好んで着用したボタンダウンシャツを、東部のエリート色が強いという理由で、公の場では着用しなかったという逸話も。2つボタンのブリティッシュスタイルのスーツを好んで着用していました。'63年、ダラスにて暗殺。

 
MEN'S EX大賞 第3位
白洲次郎
サヴィル・ロウのスーツを凛と着こなした日本人
1902〜'85年。英ケンブリッジ大学留学中からブガッティやベントレーを乗り回し、戦後GHQ支配下の日本で吉田茂首相の側近として活躍。185cmの長身がサヴィルロウのヘンリー・プールで仕立てたスーツを着こなしたその姿はあまりにエレガントです。

 
MEN'S EX大賞 第4位
ジャン・コクトー
パリの老舗メゾンの服を愛した芸術家
1889年パリ生まれ。画家、詩人、作家、劇作家、映画監督など、さまざまな顔をもつ前衛芸術家。アルニスやランバンの服を好み、ベルルッティのビスポークシューズなどを愛用していたことでも知られています。全身を白の細身の服でまとめた写真のスタイルもまた、彼の内面が滲み出ています。1963年没。

 
MEN'S EX大賞 第5位
ジャン・リュック・ゴダール
フレンチテイストのジャケットをニヒルに着こなすのが彼のスタイル
1930年パリ生まれ。ヌーヴェルヴァーグの旗手であり、世界でも最も有名なフランスの映画監督。代表作は「勝手にしやがれ」、「気狂いピエロ」ほか多数。お2人の対談内に出てきたように、まさに写真のようなジャケットファッションが彼のスタイルです。

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M.E.  なるほど。タケ先生の2位はケネディ。
菊池  僕はケネディのスーツの着こなしが好きなんです。襟幅とかシェイプの仕方とかがアメリカっぽくないし、かといってヨーロッパかというと・・・・・・。僕にはキルトの上に着ているジャケットのような、スーツの着こなしに映るんです。彼の場合、アメリカそのまんまじゃないんですよね。当時は3つボタンが全盛だったんだと思うんですけど、彼は2つボタンのスーツを着ていた印象が強いですし。
赤峰  そうですね。ケネディは僕も好きで、イギリスのモデルの誇張感をなくしてレギュラーな感じにしたスーツを着ている感じですよね。アメリカのナチュラルショルダーとかナンバーTモデルのボックス型というよりは、適度にウエストがシェイプされたブリティッシュレギュラーモデルみたいなね、そういう感じがするんです。ロバート・ケネディもみんな同じような感じでしたよね。
菊池  ええ、ケネディって、アイッリッシュ系の大統領じゃないですか。アイリッシュなイメージはありますよね。
M.E.  では次、赤峰さんの2位、コクトーです。
赤峰  ブリティッシュとかフレンチとかそういう括りではなくて、アーティストとして極めたひとつのスタイルみたいなものがありますよね。上襟が大きいバルカラーのジャケットみたいなのを、白シャツに常にブラックタイで合わせるという独自のスタイルがある。パンツが凄く細くて、それにイギリスのだと思うんですけど丈が短めのブーツをビシッと合わせているのが彼のスタイルです。
菊池  彼は顔が細いし、洋服のシェイプの仕方とか見ていると、ちょっと女性的な感覚もあるんですけど、カフスの出し方とかもう絶妙ですよ。
赤峰  あれはもう絶妙です。アーティストな着こなしのクラシックとでもいうのかな。
菊池  昔だからセオリーはあったんでしょうけど、アーティストとしてそれを崩そう、崩そうとしているのが、彼の着こなしに表れているんです。最初コクトーのところにネイビーブレザーの姿が印象的なアンディ・ウォーホルを入れようとしたんですけど、やっぱり好きなのはコクトーなんですよね。コクトーはエレガントですから。ウォーホルの着こなしはアーティストらしくはあっても、エレガントではないんですよね。
M.E.  次は第3位の白洲次郎さんです。
菊池  お会いしたことはないのでわからないのですが、町田の武相荘に行ったときにいろいろ洋服を見せてもらって、彼がサヴィル・ロウのヘンリー・プールで仕立てたスーツを着させてもらったことがあるんです。それが体にピタッと合ったのが印象的でした。それと彼は性格が変わっていますよね。反骨精神が旺盛だし頑固だし。そういうのにも惹かれますし、それと顔が美しい。日本のウォーレン・ビューティみたいなね。Tシャツ姿で写っている有名な写真があるでしょう。彼の生き方とかが滲み出ていて、カッコいいなって思います。Tシャツ1枚でもサマになるんです。
赤峰  この人は1本筋が通ったものをもっていますよね。夏目漱石とか吉田茂とか白洲次郎とか、イギリスの流儀を学んで日本人のプライドで生き抜いた人っていうのかな。ひとことでいうと毅然としていますよね。あらゆるシーンに対して毅然とした態度で臨むから、あるときは喧嘩っ早いだろうし、男気にあふれているだろうし、でもジェントルマンだっていう。
M.E.  よくわかります。次、赤峰さんの3位、ジャンニ・アニエッリです。
赤峰  アニエッリね。これはなんていうか、ひと言でいうと伊達っていう。伊達を極めたイタリア人なんですよね。今でいうクラシコイタリアとかいうのではなく、英国のひとつのスタイルをイタリア人として伊達に着るっていうのはこういうことなんだというのが感じられます。シャツのカフスの上から腕時計をしたり、タイを上着の外に出したり、自分の伊達を極めた人という意味ですごい人だなっていうのがありますよね。
菊池  確かにジャンニ・アニエッリは数々のオリジナルの着こなしのスタイルをもっていましたよね。ジャン・コクトーみたいなアーティストとは違うんだけど、並では嫌だっていうのがあって、オリジナルのスタイルを築いていましたよね。
赤峰  でもそれが何故できるかっていうと、基本ができているからなんです。基本ができているから崩せるっていう。

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赤峰幸生さんが選んだ古今東西お洒落な男 BEST5

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MEN'S EX大賞 第2位
ジャン・コクトー
これぞ、コクトーのスタイル!
タケ先生の4位に対し、赤峰さんはコクトーを2位でセレクト。「フランス的粋の本質を学べた人。特にジャケットインしたニットの着こなしとブラックタイの合わせがカッコいい」と赤峰さん。写真も無造作に挿したチーフが、実にエレガントな雰囲気を醸し出しています。

 
MEN'S EX大賞 第3位
ジャンニ・アニエッリ
さまざまな自分流を生んだ男
1921年〜2003年。前フィアットグループ会長。サルトのスーツにブルックス ブラザーズのボタンダウンシャツを、襟ボタンをわざと外して合わせたり、スーツにドライビングシューズを合わせたり、数々のオリジナルな着こなしを披露。今でも伊ではカリスマ的人気。

 
MEN'S EX大賞 第4位
ハンフリー・ボガート
トレンチコートの着こなしでは右に出る者なし
1988年〜1957年。映画俳優。代表作は「マルタの鷹」、「カサブランカ」など。トレンチコートの襟を立ててベルトを前でギュッと縛ったボギースタイルは、今もトレンチの着こなしのよき手本。赤峰さんも若かりし頃、その着こなしを随分と真似したそうです。

 
MEN'S EX大賞 第5位
清水幾太郎
赤峰さんに影響を与えた学者の叔父
1907年〜'88年。社会学者、評論家。スーツやネイビーのブレザーを日本橋の丸善で誂え、服も同店で買い求めていたそう。多数の著書も高い評価を得ています。赤峰さんの叔父にあたります。写真はローマで撮影したもの。

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M.E.  タケ先生の4位は先ほど出てきたコクトーなので、次は赤峰さんの4位、ボギーことハンフリー・ボガートです。
赤峰  ボギーはね、非常にヤクザなところがいい。特に「カサブランカ」は若い頃に観て、最後の「君の瞳に乾杯!」っていうセリフに最高にしびれましたね。
菊池  使いました?
赤峰  かなり使わせてもらいましたよ。使いすぎたかなっていう(笑)。でもね、男の中にあるヤクザ的要素と、そういうニヒルというかシリアスな部分をもちたい自分を、ボギーと重ね合わせてしまうっていうのはあります。
菊池  僕はね、ハンフリー・ボガートって大好きなんです。メンズビギの会社を立ち上げたとき、店にボガートの写真を絵のようにして飾っていたくらいですから。やっぱり男として憧れるものがあります。声も渋いし、仕草もカッコいい。
赤峰  日本でいうと高倉健みたいなイメージかな。
菊池  そうそう、だぶりますね。禁欲的っていうか、ストイックな感じですよね。
M.E.  着こなしでいうとトレンチですか?
赤峰  まぁトレンチでしょうね。あとは帽子の被り方ね、あれはボギーならではです。スーツスタイルはイメージとしてあまり出てこないですね。
菊池  「マルタの鷹」でしたっけ。モノクロだからわからないですけど、ダークスーツを着ていましたよね。
赤峰  たぶんブラックスーツですね。
M.E.  では次、タケ先生の5位、ジャン・リュック・ゴダールです。
菊池  ゴダールね。ゴダールも不良っぽい。
赤峰  フランス映画の中で、従来の価値観を壊した人ですよね。
菊池  ほかにもたくさんいますけど、やっぱりゴダールなんです。世界的な価値観を変えましたよね。それと映像がもの凄く美しい。なんであの顔からあんな美しい映像を撮れるのか不思議でしょうがない。自分があまり細い顔をしていないんで、赤峰さんは細い顔をしているじゃないですか。細い顔の人ってなんか好きなんですよね。
赤峰  見えるような見えないような、あの透け具合が独特のサングラス。レイバンのようなサングラスじゃなくて。
菊池  セルのサングラスを掛けていますよね。ちょっと禿げ上がった額に黒メガネをかけて無造作にジャケットを着て立っているのを見たことがありますけど、やっぱり凄く雰囲気がありました。
赤峰  まさにフレンチな感じですよね。ラペルが細くて肩幅が広いジャケットを着ているイメージがありますけど、ゴダールって華奢だから襟が抜け気味で、ちょっと羽織っている感じがするんだけど、それが逆に決まるんですよね。
菊池  変な言い方をすると、貧相になるギリギリの格好なんですよね。それが逆にアーティストっぽいっていうか、カッコいいんです。
M.E.  赤峰さんの最後は清水幾太郎さん。
赤峰  僕の叔父の学者なんです。彼はネイビーのブレザーをよく丸善で仕立てていたんですけど、いつもタイをビシッと締めていて、どんなに暑くても絶対に上着を脱がずに凛としていたイメージがありまして。当時丸善で売っていたバーバリーのトレンチコートを譲ってもらったことがあって、それがこの世界に入るきっかけにもなったし、私事で申し訳ないんですけど、子供の頃から彼にはそういった意味で凄く影響を受けてきたので、入れさせてもらいました。
M.E.  ありがとうございました!

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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