AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年03月24日(月)

OCEANS 5月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛……などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、
少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さんの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で、迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!


今月のお悩みキーワード
“上司の大義”

[今月のお悩み]
入社10年目を迎え、同期の中で一番早く課長職に就きました。管理される側から管理する側に回ることになり、上司として、よきリーダーになろうと決意しています。そこで人生経験が豊富で、会社の代表取締役社長でもあるマエストロにアドバイスをいただきたいのです。「デキる上司」の条件とは何でしょうか?部下から認められる上司となり、これからも出世街道を歩みたいと思っています。(33歳・東京都在住・証券会社勤務H・Tさん)

 
 

Q.今月、お悩みを寄せてくれた方は出世意欲が強いようです。やっぱり、男は出世してナンボ!リーダーってモテますしねっ!
 てめぇ、このやろう!何を勘違いしてやがる。出世が男の本懐であるとでも言いてぇのか。ふざけるな!何のための出世だ。課長になったから偉いのか。部長はもっと偉くて、社長になるのが目的か。それともやっぱり金なのか?リーダーになりたい動機が自己顕示欲と収入を上げることならば、そんなリーダーはクソくらえだ。こんな輩が上司である部下が不憫でならない。リーダーを目指すのであれば、まずは大義を持つべきだ。そして、自分がその大義を成すためにリーダーとなる必要性があるのであれば、大いに出世を目指せばよろしい。

Q.なるほど、リーダーになる目的は不純なものではいけないのですね。でも、そんな人っているんでしょうか?
 お前の目には、不純なことしか見えてねぇのか!まったく、夢も希望もないやつだ。私はかつて、模範となる上司がいた。彼は部下に対して、自己啓発できる人であった。これはリーダーに必要な条件とも言える。そんな彼と、昔こんなことがあった。
 ある日、上司に「POP」の意味を問われたとき、私は即座には答えられなかった。そうしたら上司は辞書で調べろと言う。そして、辞書を持つ私にこう言った。「それは中学程度の英語と書いていないかい?君は中学を出ているんだよね?」と。私は猛烈に悔しかった。しかし、その言葉に嫌味などは微塵も感じなかった。むしろ、勉強が足りないとの叱咤が激励に聞こえた。また、あるときは朝日新聞の「天声人語」を毎日読むことを義務付けられ、新聞には大見出し、中見出し、小見出しがあり、それから本文があることを教わった。そして、私が上司に意見するとよくこう言われたものだ。「君の話は何を言いたいのかまったくわからない。私に何か話すときには“大見出し”から話しなさい」とね。その言葉から、相手に何かを伝えるときは、話の内容を最も簡潔にまとめている“大見出し”的な役割の内容を、まず一番に話すことが必要であることを教わった。そして、私はそれ以降、今でも「天声人語」を読み続けている。これらは、例にすぎないが、私はそのときの上司から教わったことを今でも思い出し、反芻することがしばしばあり、実践できるように努めている。

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(→)服飾界のドンとして知られるマエストロ、実は大の“カラオケ好き”。この夜、数ある十八番の中からマエストロが、選んだ第一曲は「酒と泪(なみだ)と男と女」。プライベートなカラオケであっても、その鋭い眼光は健在でした。歌って踊った2時間半・・・・・。さすがのマエストロも、この日ばかりはお酒に飲まれてしまったのかもしれません。

Q.リーダーは部下を自己啓発させる。それ以外に、部下と接するうえで大切なことは何でしょうか?
 何だと?てめぇ、いいこと聞くじゃねぇか。リーダーになりたい目的は何だろうか。それを考えれば、自ずと答えは見えてくる。極論すれば、リーダーの目的とは会社の理念であり、もっと言えば会社が市場に存在する理由だ。そもそも、会社の使命とは顧客を満足させることにある。リーダーはそのうえで、部下が何を担うのかをしっかり説明する必要がある。つまり部下ひとりひとりの会社での仕事が、世の中にどのような影響を与えているのか世の中にどのように役立っているのか。それを、伝えることが重要なのだ。また、その言葉にあなたのありったけの情熱や意欲を乗せて伝えることもリーダーとしての大義なのだ。そうすれば、部下の理解度も格段に違うはず。本来の仕事の意味を理解させることなくして、部下に成長はなく、会社に未来はない。仕事をしていくうえで、会社に「マニュアル」というものが存在するのならば、大切なのはその「マニュアル」遵守よりも、むしろそれがどうして存在しているのかを部下に説明できることなのだ。リーダーには、それを説明する力がなくてはならない。上司の出世のため、金もうけのために働くやつなどいないだろう。そんな上司と部下しかしない会社はろくでもない。そうは思わないか?

Q.実際にご自身の会社と、この業界で人の上に立つマエストロが肌で感じたリーダーの資質を教えてっ!
 お前が今回の話を本当に理解しているのか、私は不安で仕方がない。会社を設立して代表取締役をしてはいるが、私は人の上に立ちたいから、リーダーをしているわけではない。理由はたったひとつ。それは、己の大義を具現化していくための手段でしかないのだ。リーダーとして、仕事をするうえで、これまで積み重ねたさまざまな体験は大いに役立っている。
 私が独立したのは28歳のときだ。そうしてからボールペン1本でも、紙1枚でも経費がかかっていることを骨身に感じ、無駄にはできないと肌身で知った。そして、営業から経理から企画から、会社でいうとありとあらゆる部署が担う仕事を自分の責任で行った。しかし、自分の目的がしっかりあったからこそ、何でも主体的にできた。だから、その当時自分がしている仕事が何のためのものであるかも当然わかり、結果よりよい仕事をすることができたものだ。自分の経験からものを言うとき、ある部署の仕事しか経験していないと、非常に偏った視野になる。最近では、終身雇用という意識は薄れ、転職を繰り返し、独立をする者も増えている。それがだめだとは思わない。しかし、とりあえず大学を出て、会社に入り、そして転職し、最後に独立する。そんな“とりあえず”な輩が多いのではないか。あなたは自分の目的、つまり大義を成すための職人になるべきだ。料理人に例えるなら「自信」「意欲」「能力」という名の包丁を持たねばならない。でなければ、何でもとりあえずの“渡り職人”になってしまう。そんな輩がリーダーでは、部下は困るだけ。会社の規模は関係ない。必要なのは、そこに強いリーダーの意志が存在するかどうかなのだ。

Q.では、簡単によいリーダーになるためにマエストロ流の秘訣を教えてくださいっ!
 このやろう!秘訣だと?しかも簡単にだと?そんなものがあったら、ぜひ私も教えてもらいたいものだね!リーダーの条件は一日にして満たされず、だ。だが、私なりに思うことは教えよう。まず、己の尊敬するリーダーを見つけよ。私は今までの経験を生かしてきた。リーダーは仕事上だけの話ではない。わたしにとって(注1)ロベルト・ロッセリーニ(注2)フェデリコ・フェリーニらイタリア映画の名監督もリーダーである。若いころには映画から多大な影響を受け、本からも多くのことを学んだ。リー・アイコーカやヒュー・ヘフナーらのことが書かれている「(注3)5人の猛烈なアメリカ人もそのひとつだ。そして日本の偉大なリーダーである松下幸之助の著書は今の若者にぜひとも読んでいただきたい。「(注4)人生心得帖」にはまさに人生の航海術が書かれている。また、「(注5)大切なこと」にはこんなくだりがある。「なすべきことをなすという勇気と、人の声に私心はなく、耳を傾けるという謙虚さがあったならば、知恵はこんこんとわき出てくるのである」。この言葉の意味を考えてほしい。私の人生の指針をのひとつである。リーダーとは異なる仕事上の上司だけに留まらない。素晴らしい生き方をしている人生の先達すべてがリーダーだ。己をよき方向に導いてくれる者がリーダーなのだ。
 しかしながら、人間は年をとると、昔とった杵柄で話をしたがるものである。経験を語ることはいいが、昔の事例を話すにもかかわらず、今の問題が解決されないのであれば何の意味もない。また、人間は肩書きがつくと偉ぶるものである。人の上に立つというが、上も下もない!上司はまとめ役であり指導的立場ということだ。部下から学ぶこともたくさんあるはずだ。人間、謙虚さを失ってはいけない。世の中には、このような傲慢で偏屈な上司が多いのではないだろうか。
 また、己の大義を推し進めるためには体力、健康に留意せねばならない。ここ一番に、ここ一番な自分になれない人間は、リーダー失格なのである。
 また、引用になるが、松下幸之助が「大切なこと」で書き示した次のことを今一度肝に銘じたい。「道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる」。そうすれば、自ずと道は開けるだろう。

 
(注1) 「ロベルト・ロッセリーニ」
イタリア・ローマ生まれの映画監督。代表作は「無防備都市」など。


(注2) 「フェデリコ・フェリーニ」
イタリア・リミニ生まれの映画監督、脚本家。色の魔術師と謳われた。代表作は「甘い生活」など。


(注3) 「5人の猛烈なアメリカ人」
竹村健一著、講談社。猛烈に働くアメリカ人の仕事ぶりを紹介し、日本に“モーレツ”ブームを巻き起こした。


(注4) 「人生心得帖」
松下幸之助著、PHP研究所。心得帖シリーズとして発行され、ほかに「商売心得帖」、「経営心得帖」などがある。


(注5) 「大切なこと」
松下幸之助著、PHP研究所。ベストセラー「道をひらく」の中から若い人向けに書かれた、生きていくうえで大切なことを抜粋した43編からなるメッセージブック。


 
 

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−近ごろのマエストロ−
「恒例だがミラノで開催される生地展に訪れた。私の服はあくまで“生地ありき”である。2008年秋冬のアカミネロイヤルラインのテーマは“ベター ザン ブリティッシュ”。1920〜1940年代のヴィンテージ生地を日本の機屋で復刻して、英国よりも英国的な服を提案する。ミラノの次に向かったのはロンドン。とあるヴィンテージショップに立ち寄ったら、ポール・スミスとトム・ブラウンを見かけた。彼らにとっても過去の素晴らしい服は、よきお手本となるのであろう」

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者のみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合は官製ハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B年齢 C職業 D電話番号 Eメールアドレス F「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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