AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年12月24日(月)

OCEANS 2月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

画像(138x180)・拡大画像(311x404)

マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“常識のズレ?!”

[今月の質問]
私は昨年、国際結婚をしました。相手のことを十分理解しているつもりでも、異文化で育った妻と生活を共にするに連れて、さまざまな価値観のズレが明らかになり困惑することも。最近よく言い争いになるのは、仕事についてです。家族のために働き、稼ぐことは男の使命でもあると思っています。それに対し、妻は不満を言う。いま一度ワークライフ・バランスについて再考していますが、妻のことが理解しづらくなってきています。国際感覚に長けたマエストロにざひ、何かよいアドバイスをいただきたいと思います。(36歳・目黒区在住・広告代理店勤務M・Tさん)


Q.この方、私生活を大事にしたいそうです。仕事とのバランスなんかよりも、男は仕事!それが世界共通の常識ですよね?
 お前っ・・・・・・・・まったく呆れて返す言葉も見つからない。そんなことを言うお前のような輩ばかりでは、日本はもうだめかもしれない。「(注1)ワークライフ・バランスという言葉を知らないのか。「仕事」と「私生活」のバランスは今、極めて重要な社会問題であり、政府や一部の企業は既に動き出している。それに、海外に目を向けてみろ。家族と過ごす時間を仕事以上に重んじるヨーロッパ諸国で「仕事がすべて」だなんて言ってみろ。それこそ日本の恥さらしというものだ。そんな輩に限って大して働きもせず十分な収入と休暇を第一に要求してくるものだ。そんなことを考える前に、もっと見聞を深める努力をしろ。日本で常識だと思っていることは、世界に出てみればそうではないことが実に多い。そして、お前がこれから招こうとしている悲劇を事前に防ぐためには、奇しくもお前の言った「仕事(=稼ぎ)がすべて」という馬鹿げた妄想をまず叩き壊す必要がある。この常識のズレが生じるのは、日本という国が“一億総売上げ主義”であることに起因する。つまり個人では年収、会社では利益だけが物差しとなる。計算できるものでしか価値を計ることができない。だから売上げばかりを求め、その結果常に時間に追われてしまう。
 世間にはラーメン屋が溢れているだろう。なぜだかわかるか?それは手っ取り早く腹を満たせるからだ。自動販売機も異常なほど多い。それは手っ取り早くノドを潤せるからだ。いったい何をそんなに急ぐ?日本人は身体も心も疲弊しきっている。仕事の対価が賃金であることに異議はないが、それがすべてだなんて実にむなしいではないか!私生活を楽しむことに重きを置き、身体も心も満たされること。それを最優先することで、日本人が、ひいては日本が救われるのだ。
 例えば、それはイタリア人の例を見れば明らかだろう。彼らは、仕事のアポイントの時間には大抵、遅れる。仕事の段取りがうまいとは決して言えない。電車や飛行機だってそうだ、必ずとは言わないが大抵時間どおりに来ない。だが、時にルーズに映るその習慣こそが、彼らのよさであり美徳なのだ。自分の生活を楽しむことを第一優先とし、“生きることを楽しむ”ことを国民全員が実践している。彼らは実に幸せそうにいきいきと生きているのだ。そしてそこから生まれる余裕こそが、彼らの常識を形成する大きな要素なのである。イタリア人の真似をしろとは言わない。しかし、こんな場面に出くわすと、自ずと答えは出るだろう。働き盛りのイタリア人は、電車やバスで椅子に座ろうとはしない。なぜならば、彼らの常識では椅子は年配の方や障害のある方などのため、だからだ。翻って日本人はどうだ。目の前に老人が立っていても、寝たフリや、気づかないフリをしたりする始末・・・・・。仕事や収入についてあれこれ不満を言うよりも、そのズレきった常識を正すことだ。当たり前の行為として椅子を譲れるか?まずはそこから考えてほしい。正解基準の常識を身に付けるためには、人に優しくなれる、心の余裕が必要不可欠なのだ。

Q.では、忙しい日々の中で効率的にゆとりのある生活を送るための極意を教えてください!
 何が極意だ、大馬鹿やろうが!それくらい自分で考えねぇか。金が欲しいなら、とにかく働き蟻のようにせこせこと働きやがれ。まぁしかし、あえてアドバイスを送るとするならこうだ。まず、生きることにローギアを入れろ。トップギアで走ろうとするな。そして、どんどんサボるのだ!仕事を疎かにしろということではない。効率だけで考えず、ムダなことをしろ。足し算ばかりの生活ではなく、引き算の生活をしろということだ。そこに精神的に豊かな生活のヒントがある。例えば休日に、自然と頬擦りしてみろ・女ばかりを抱きしめるのではなく、木を抱きしめてみろ。家でテレビばかり見ているよりも、川原の石っころでも拾いに行け。外に出て自然に触れろ、そして感じろ。休日に洗車や服の洗濯などばかりしていないか。今、お前に必要なのは、心の洗濯だ。そうやって生活範囲を広げれば、自ずと視野は広くなる。そして、最大の目的は教養を深めることにある。常識のズレを解消するには、教養を身に付けるほかないのだ。日本を訪れる多くの外国人は、東京ではなく京都や奈良、鎌倉を訪れる。それが意味することは、彼らが日本の美しさをその自然や歴史、つまり文化と呼ぶべきものに求めるからだ。物質的な部分ではなく、精神的な部分に価値を見出すのだ。文化への深い理解が人生を豊かにする。教養を身に付けるよう努め、金には換えられないものに、贅沢を感じられるようになれば本物だ。

画像(110x180)・拡大画像(369x600)

(→)成熟した大人、つまりジェントルマンの条件として、「裸で会話ができること」を挙げる赤峰氏。その言葉が意味するのは、つまり銭湯で出会った人たちと、仕事や立場を超えて、普通に世間話ができるかということ。この日赤峰氏は、どんな人と出会い、そしてどんな会話をしたのでしょうか。

Q.日本では常識とされていることで世界に出れば逆に非常識とされる。そんな具体例を教えてください!
 よし、いい心掛けだ。お前と初めてまともに話せている気がするのは気のせいか。正直この手の話を今さらするのはうんざりだが、お前の率直さに免じて答えるとしよう。
 わかりやすい例を挙げるなら、あのクールビズやウォームビズというおよそ習慣にはなりえない取り決めを、その目的を履き違え、自身の行動の指針としている輩がいることだ。かくいう今年も暖房の設定温度が下げられ、ウォームビズを実施する会社が多い。会社員は規定だからと何の疑問も持たずに、ただ従うだけ。だからその目的も知らずに、誤った理解を生んでしまうのだ。日本人は規則を守るのが得意だからな。日本の男よ、自ら考えろ!会社の常識がお前たちの常識なのか?地球温暖化防止は早急に取り組まねばならない、人類全体の極めて重要な課題だ。ムダや資源を使わないように、室内の暖房温度を下げることには賛成だ。しかし、それをウォームビズだのなんだのという、お上の声によって主導され、ただ従うだけの日本人の心意気が気に入らない。地球温暖化の改善を意識して、室温を下げる。すると少し寒いからシャツの上にカーディガンを羽織る。ただそれだけでいい。なぜなら、それだけのことなのだから。自分で考えて、自分で判断して、自分で行動しろ。これは今年の夏のことだ。クールビズだからタイをして来なかった。そうのたまう輩が私の前に現れたときのことだ。それが常識ですからという顔つきで、だ。私はノータイの着こなしが悪いというのではない。問題はT.P.O.が違う、ということだ。クールビズ云々の前に、根本的なことが何もわかっていない。本来の目的を忘れた、もしくは単に知らないだけなのか。何でもカジュアルに済まそうというその傾向は、アメリカの悪い影響だろう。クールビズだろうが、然るべきシーンでは必ずタイを締める。それが紳士として世界基準であり常識なのだ。目上の人の前でタイを締めるということができない、もしくはしない、そんな事態は最悪なのである。そんな輩にはひと言、俺の前から消えてくれ!と言ってやりたい。つまり、己が常識であると確信しているようなことも、時には疑ってみることが大事なのだ
 日本人は世界一トレンドに流されやすく、影響されやすい国民だ。とにかく新しいものが大好きだ。クールビズやウォームビズが最たる例だろう。流行ものとして言葉だけが独り歩きする。情けないことこのうえない。日本の常識はスクラップ&ビルドなのだ。壊しては建て、また壊しては建てる。日本の街並みについても同じことが言える。変化することを進化という言葉にすり変えて、ごまかしている。東京では日に日に高層ビルが増えている。イタリア人は、古いビルでもすべてを新しくせず、まず改築を重ねる。彼らは古きもの、つまり文化を尊ぶのだ。例えば20階建てのビルが建設されると「ブルッタ パラッツォ(=イタリア語で醜い建物の意)」と言って、そのビルを歓迎しない。今、日本も新しさだけを求める時代ではないのではないか。海外へ出る機会があるならば、ぜひその国で庶民の文化を経験し、同じ目線で味わい楽しむことをおすすめする。それは文化のスタンダードを知ることを意味する。そうすると、日本人としての自分の立ち位置がわかる。つまり常識の勘違いが見えてくるということだ。今月質問をしてくれた読者が、異文化で育った妻との価値観の違いで悩んでいるならば、まずはやはり妻である女性の背景にある文化に対する理解が不十分だということだろう。まずはそこの努力から始められたい。

 
(注1) 「ワークライフ・バランス」
最近注目されている大きな社会問題のひとつで、仕事と家庭が両立しやすい雇用環境作りのこと。少子化対策の一環として、国や企業は子育て支援などへの積極的な取り組みを進めている。



 
 

画像(87x180)・拡大画像(250x514)

−近ごろのマエストロ−
食品における偽装が世の中を騒がせている。それは服にもある。最後の出荷場所がイタリアであれば別の場所で製造してもイタリア製になったり。カシミアと謳っても品質は千差万別。それにブランドの名前にすがっていては、モノの価値を見抜くことはできない。ブランドで素晴らしいものもある。ただし、名前だけで信じていると裏切られるのだ。人も同じ。会社の名前、肩書き、学歴で判断しては見誤る。自分の目で判断することが大事だ。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 喜多川ビル8F オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録(今月は「常識の勘違い」)”色紙をプレゼント!

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

コメント

コメント投稿フォーム

名前:(この情報をCookieに保存させたい場合にチェック)
メールアドレス: (表示はされません)
URL: (名前にリンクされて利用されます)
コメント:
パスワード: (削除時に利用)

ページのトップへ ページのトップへ

12

2007


            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

PHOTO

エスクァイア日本版「LAST(vol.11)」5月号臨時増刊(男の靴雑誌)

エスクァイア日本版「LAST(vol.11)」5月号臨時増刊(男の靴雑誌)

日・伊・英、スーツ3賢人が伝授する「スポシック」の極意!

日・伊・英、スーツ3賢人が伝授する「スポシック」の極意!

エスクァイア日本版「LAST(vol.8)」11月号臨時増刊(男の靴雑誌)に登場しました。

エスクァイア日本版「LAST(vol.8)」11月号臨時増刊(男の靴雑誌)に登場しました。

検索


カテゴリーリスト

最近の記事

最近のコメント

リンク集

RSS1.0

[Login]


powered by a-blog
Copyright (C) 2005 INCONTRO Co.,Ltd. All rights reserved.