2007年07月24日(火)
OCEANS 9月号 連載#18 [OCEANS掲載記事]
King of Elegance
マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」
ネイビーの“粋”
南仏リゾートのマインドで着こなした夏のネイビー
マリアーノ ルビナッチのネイビーシャツは、プルオーバータイプで素材はリネン。ボタンは白蝶貝。パンツはアカミネ ロイヤルラインのシアサッカー。ネイビーキャンバスのエスパドリーユはアンクルに巻く紐が付いていて、アウトソールはレザー。パリのエルメス本店にて購入。基本的に色は2色まででまとめるという、マエストロ赤峰流の原則を実践。プルオーバーのシャツの場合は、上にジャケットなどを羽織らずにシャツ1枚で着る。(日本橋三越本店取扱い)
色の好き嫌いは、それこそ十人十色。しかし、ネイビーが嫌いと言う人はいないのではないだろうか。広範囲にわたる好感度、それこそがネイビーの魅力だ。さらに誰にでも似合う。ネイビーほど、ユーティリティな色は他に見当たらない。
私の場合、ネイビーとの付き合いは幼少期に遡る。子供のときにはネイビーしか着ていなかったほど。セーターにしても、ショートパンツにしても。おそらく、母親が好んでいたのだろう。そうした影響もあって、ネイビーを着ることが自然な感覚として染み付いた。また、(注1)叔父の影響も多大だ。当時、私の叔父は日本橋丸善で仕立てたネイビーのブレザーをよく着ていて、その姿の格好よさに憧れた。キチンと服を着ることが板についていて、それがとても自然で、上品に感じられた。無造作のエレガンスとでも言うべきか。これ見よがしの格好悪さ、逆にこれ見よがしではない格好よさ。私はそうした感覚を母から着せられたネイビーの服、叔父が着ていたネイビーの服から感覚的に学んだのだ。
私の服の基本色はネイビーであるわけだが、着こなしにおいて大切なことは季節感となる。冬であればフランネルのスーツ、ダッフルコート、ニットなどでネイビーを着る。夏であれば、やはり、コットンのポロシャツ、そしてリネンのシャツなどが中心となる。今回、着用しているのは(注2)マリアーノ ルビナッチのリネンシャツ。胸ポケット付きのプルオーバータイプだ。着こなしのコツをあえて言葉とするならば、袖まくりにある。ロングスリーブでは暑いから、袖をまくる。ただそれだけのことなのであるが、見た目にも開放感を与える。何センチ間隔でまくるとか、そういったマニュアルのようなものはない。あくまでも無造作に、たくし上げる。それでいい。ポロシャツの襟を立てるかどうかも、同じこと。首裏に受ける日差しを避けるために、襟を上げる。ただそれだけのことである。今回は、足元の(注3)エスパドリーユでもネイビーを選んだ。適度に素足が露出され、キャンバスの質感が清涼感を与えられる。(注4)ウィンザー公、(注5)イヴ・モンタン、彼らのエスパドリーユのこなし方が理想であり、よき参考例となる。ボトムスはブルーのシアサッカーで、シャツと靴とをつなげた。全体のイメージはニースやサントロペ。南仏の避暑地で過ごすときのリゾートマインドでの着こなしである。リゾートへ赴く際、どうしてか普段は着ていない派手な色をここぞとばかりに着る人が日本人に多く見受けられる。否定はしないが、清涼感を意識しながら、ネイビーを活用してはいかがだろうか。
(注1) 「叔父」
社会学者であった清水幾太郎氏。東京大学卒、著書多数。学習院大学にて教授職も務めた。
(注2) 「マリアーノ ルビナッチ」
ナポリの名店、ロンドンハウスのオーナー、マリアーノ・ルビナッチ氏によるブランド。
(注3) 「エスパドリーユ」
スペインのバスク地方発祥の靴。底にエスパルトという繊維を編み込んでいたことから名付けられた。アッパーはキャンパスが一般に用いられる。特にフランスでリゾート用の靴として定着し、愛用されている。
(注4) 「ウィンザー公」
1910年にプリンス・オブ・ウェールズとなり、後にエドワード8世に。退位後、ウィンザー公の称号を与えられた。稀代の洒落者として名高く、ファッションに多大な影響を与えた。
(注5) 「イブ・モンタン」
'50〜'60年代にフランスで活躍したシャンソン歌手・俳優。「枯葉」や「セ・シ・ボン」などの名唱で“世界の恋人”と謳われた。マリリン・モンローと浮き名を流したことは」有名。
赤峰氏が影響を受けたネイビーの粋な着こなし
1_紺ブレを着ている叔父の清水氏。ローマにて。
2_「Montand」より。シャツの袖をまくり上げ、エスパドリーユを洒脱に履いているイブ・モンタン。
3_「FRENCH RIVIERA」より。エスパドリーユをスーツに合わせているウィンザー公。
夏のネイビーの着こなしは“本場”南仏のリゾートで映える
仕事柄、海外へ出向くことが多い赤峰氏。南仏のリゾート地ではバカンスを過ごし、ネイビーの着こなしを“本場”にて楽しむことも多々。実際に見て、肌で感じ、自らの感性でアレンジする。それがマエストロ流。上の写真は南仏の代表的なリゾート地であるサントロペ。
Posted by インコントロ STAFF at 00時00分 コメント ( 0 )