AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年06月24日(日)

OCEANS 8月号 連載#17 [OCEANS掲載記事]

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King of Elegance

マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」



英国素材の“粋”

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ドーメルのトニックで仕立てたネイビースーツの着こなし

赤峰氏が着用しているネイビースーツは、1950年代、トニックが発表されたころのアーカイブを用いて、自身のプライベートブランド、アカミネ ロイヤルラインにて仕立てた一着。「ヘビーウェイトで、仕立て映えして、シワになりにくい。そして、清涼感が素材から伝わってくる。英国素材のよさが凝縮されている」。ブロードの白シャツとシルクの千鳥格子のチーフは、ともにシャルベ。ブラウンのスリッポンはジョン ロブ。ネイビー無地のタイを合わせて、色使いは控えめに。ドーメルのトニック製、王道のネイビースーツを粋に着こなす。

 
 

 
 すべての服は素材から始まる。(注1)Y.アカミネも、素材からデザインのイメージが膨らむ。そのため、クオリティの優れた素材を求めて世界中を巡る。その中で、最高級素材のひとつに数えられるのが(注2)ドーメルだ。今回はドーメルの代表であるドメニク・ドーメル氏の来日に際し、英国素材の粋について語らった。
 

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素材について語り合うドーメル氏と赤峰氏
対談は赤峰氏のオフィスにて。「赤峰氏はいつも着こなしがエレガント。決して、華美ではなく、控えめな色使い。スタイルが明確で、オリジナルの雰囲気が醸し出されています。服は素材に始まるという考え方に、共感しています」とドーメル氏。「ドーメル氏の着こなしこそ、まさに英国素材の粋を語るよう。会社のトップに立つ人物が、自らの着こなしで素材のクオリティを証明している。服を作る立場にとっては、それが信頼できる証でもある」と赤峰氏。お互いをリスペクトする関係だ。

 

赤峰  ドメニクと初めて出会ったのは、フィレンツェのリベラーノ&リベラーノです。たしか、(注3)アントニオの紹介でしたね。彼も重用していますが、私がドーメルをギャランティするのは何より服地メーカーとしてブレない軸があるからです。つまり、永きにわたる歴史を、揺るぎなく受け継いでいるのです。
ドーメル  私たちは繊維商として商いを始めました。現在ではファッションブランドとしても認知されていますが、服作りはあくまでも素材ありき。クオリティを何よりも優先します。よりよい原毛を探し、糸にし、生地にする。完璧な自社でのコントロールのもと、研究と開発を繰り返す。多くのテーラーやデザイナーが求めるのは、ドーメルという名が付いた生地のクオリティ。また、英国の服地のよさを広く伝えていくことも、ドーメルの使命です。
赤峰  素材作りは一朝一夕にできるものではない。培ってきた歴史があってこそ。だから、英国製の服地が選ばれ、ドーメルに信頼を寄せる。私自身もそのひとり。そして、ドーメルにはドーメルだけの個性がある。その代表例が(注4)トニックです。
ドーメル  モヘア混ウールのトニックは1956年に発表されました。私の祖父が「エレガントな男性には、みっともないシワがあってはならない」と、開発に着手。モヘアは滑りやすい繊維で、新しい技術を用い、完成までに3年の月日を要しました。それが、今日ではドーメルの代名詞的な素材となりました。
赤峰  私自身もトニックのスーツを愛用しています。仕立て映えがし、なによりシワになりにくい。
ドーメル  私も愛用しています(笑)。私たちはトニックのように、過去に開発された素材を大切に受け継いでいます。一方、ライフスタイルや気候の変化に合わせて、新しい素材も必要となっています。近年、日本ではライトウェイトの素材が求められるようになってきました。しかし、どんな素材であろうとも、伝統的な作り方、クオリティを最優先する姿勢は決して変わることがないでしょう。
赤峰  素材は仕立てられてから真価を発揮しますが、その善し悪しは着続けてこそ判断ができる。5年後、10年後、より魅力ある風合いとなるから、英国素材は粋なのです。
 
 
(注1) 「Y.アカミネ」
赤峰氏のプライベートブランド。目利きである氏が選び抜いた上質な素材だけが用いられ、クラシックをベースにデザインされている。展開は全国の有名百貨店や有名セレクトショップにて。


(注2) 「ドーメル」
1842年に創業。フランス人、ジュールズ・ドーメルが英国素材を輸入したことから興り、今なお創業者一族での経営が続く。現在では服地メーカーとしてのみならず、トータルファッションブランドとして発展を続けている。


(注3) 「アントニオ」
赤峰氏が信頼するフィレンツェのテーラー、リベラーノ&リベラーノの当主。


(注4) 「トニック」
3プライ(3本の糸からなる撚糸)のモヘアを横糸に、3プライのウールを縦糸にして織る混紡素材。現在では反物の状態になっている素材の端に、生地ブランドの名前が書かれていることは珍しくないが、その“耳文字”を世界で先駆けたのもドーメル。

 
 

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英国素材の伝統を継承するドーメル

4代目当主のドメニク・ドーメル氏。「トニックという名前の由来は、ユニークなんです。ようやく完成したという日に、祖父はジントニックで乾杯したそうなのです。そこで、トニックと名付けた!知ってる人は案外、少ない。でも、本当の話です」。日本でのクールビズについてコメントを求めた。「地球環境を守ることは大切です。けれど、男性の最高の装いはスーツにタイ。涼しさを得られる素材の開発に取り組み、エレガンスと機能性を両立させていきたい」。

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対談当日の両名のVゾーンはともにエレガントな王道

(写真上)赤峰氏はブラウンのスーツを着用。Vゾーンは襟先がラウンドしているブラウンのストライプシャツに、ブラウンの小紋タイ。ブラウンのグラデーションでの粋な着こなし。
(写真下)ドーメル氏はジェットという素材を用いたネイビージャケットを着用。「スーツはグレーが多く、ジャケットはネイビー。もちろん、素材はドーメルです」。スポーティなイメージのチェックのシャツにグレーのクレストタイで、ネイビージャケットのVゾーンを構成していた。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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朝日新聞be on Saturday "『赤峰幸生の男の流儀 『流行の源流を訪ねて』 2013年5月11日(土)掲載"

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服の立ち位置【自然の色に溶け込む】

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MEN'S EX 2013年3月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」vol.3

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